【れびゅう】サイエンス・メール vol.349 から vol.360

双極性障害の研究者加藤氏へのインタビュー。


双極性障害については、ごくコンパクトな説明としては
躁状態とうつ状態を繰り返す 1型/2型双極性障害 監修 加藤忠史(理化学研究所脳科学総合研究センター 疾患メカニズムコア長・精神疾患動態研究チーム・チームリーダー)|カラダご医見番|ダイヤモンド・オンライン
を、見ればだいたい分かる。
双極性で出たウツと、そうでないウツを区別しないと、とんでもない薬を出されて難儀する、という忠告も入っている。
ことに2型の場合は余計に分かりづらそうだ。
☆ ☆ ☆
この分野の研究って、なかなか進むもんじゃないんだなぁと、その大変さをまず思った。
あまりに大変だから、もうそんなの調べなくていいんじゃない? くらいの気分になっていったが、よく考えるとそうはいかないと思い直した。ことに臨床では、効いた薬が正しい薬、ということでほとんどパフュームの世界というのだから、やっぱそうなんだ…と合点のいく箇所があった。そういう面にも表れるように、多分にその時々の本人と周囲の人間の納得具合に左右される世界だからこそ、おとなしく無害な人間になればそれでいいのか? という話しになりかねないのが、せいしんではないかと危惧するのだ。
それを広げると、反抗的だったり反骨精神のある人間は奇人変人、というか病気という事にされかねない。
今現在は、そこまで極端な価値観にはいたっていないが、常にあやうさと隣り合わせではないかと感じる。
そう考えると、ちゃんとした研究というのはやはり必要だ…。
他に面白かったのは、視覚や聴覚という入力ではなく光や生活リズムの変化という入力が、この病気に影響している、という素朴な話し。実際モンダイ、規則正しい生活と完全な栄養のご飯を決まった時間に三回摂ることで、相当に精神状態は良くなる。そんなに栄養摂らないでもいいのでは? と思う時もある(というか、わたしなどの何倍も良い食事、良い栄養)なのだが、栄養云々よりも、入力刺激のモンダイだったのか…。
あと、気分障害とも言われる双極性、「気分」というと文学的で非科学的なものに思えるけど、光の入力→メラトニン生成→外的環境に応じた調節系
と、リクツで説明できるのだ。(わたしの解釈では)
それに「光」って、ヒトとか生物全般に大きな影響があるんだなぁ。すごい。
その他、話しはやや逸れるけど[40: 「新しいビタミン発見」は『ネイチャー』の販売戦略だった]というコーナー。
「販売戦略」っていうのもそうなんだろうけども、いかにサイエンスの世界が、より刺激的なトピック、より分かりやすく革新的なストーリーとニュースを求めているかっていう、生き馬の目を抜く原理でいるかという、なんかそういう印象。
実のところ、こうやってたんたんと繰り返しの中で生きられている(としたら)ということ自体が、脳と神経系の仕事のたまものなんだなと教えてもくれる、そんな双極性の学習だった。