高校生、バンド。文化祭を目指して! 第三回

 《前回までのあらすじ》

 上の「高校生」をクリックしてください。出てきます。

 そんなで、問題山積だったのだが、ある時急に霧が晴れた。突然ベースとドラマーが加わったのである。

 本来キーボードだった森が、「おれベースやるよ」とベースに転向。ドラマーは音楽部の1年が参加。さらにさらに、なぜかギターがもうひとり加わり、キーボードはキーボードで別のひとりが参加して、総勢6人という、あと4人で東京スカパラダイスオーケストラ?! ってくらい大所帯なバンドになったのである。

 俄然やる気のわいた彼らは、何度もスタジオを借りて練習に励んだ。

 曲目は、とりあえずラルク アン シエルの「Driver’s High」。

 これは必ずしもラルオタの米倉の一存ではなく、意外と高校生男子にもラルクは人気があったのである。今時の高校生であるから、みんなバンドやらギターをやっているのだが、一見「ゆず」のアコギ派ユニットにも人気! ただ、ラルクはまったくコピーしづらいバンドらしく、なかなか手が出ないようだ。

 わたしが今、特に書いておきたいと思うのは、ベースの森くんが我が家を訪れ、達也とDriver’s Highを弾いた時のことである。わたしは他の部屋にいたのであるが、狭い家のこと、ふたりの演奏が耳に入ってきた。

 すばらしかった!!

 達也がひとりで弾いている時は、「ああ、Driver’s Highだな」くらいしか思わなかったのが、ベースと音を合わせたとたん、突然ライブ会場が目の前に広がった。それも、ステージを見上げる方ではなく、ステージに立つ側として。ベースとギターだけでも、あれだけ音の広がりを感じさせるのだから、ドラムやボーカルが加わったら、それはどれくらいのものだろう??

 しかし、なぜそれを今書いておきたいかというと、Driver’s Highはもちろんのこと、彼らが文化祭で演奏する可能性は、低いのではないかという思いが、夏休みも佳境の今、思うからだ。

 達也の通う高校は、「ランク」はさほど高いとは言えないものの、れっきとした進学校。少しでもいい大学へ少しでも多く送り込むことを至上命題としている高校なのである。そして、高三の夏休みといえば、受験に向けて皆が一番必死こいている時期。 とても文化祭の練習どころではない。

 それをいったら、達也も同じなのだが、達也の頭は今、大学よりもギターおよびバンドでいっぱい。つまり勉強する気ゼロ!! 親のわたしもすっかり諦めて、もう何も言う気なし。言ったところでどうなるものでもないのである。

 それならせめて、好きなことで一花咲かせてもらいたいと願うけれど、バンドは一人では成り立たない。みなの意見や意志が重なり合わなくては。

 そんなで、実にパッとしない夏休みを過ごしている達也くん。

 しーらないっと。

 今日はあの人、「布袋寅泰」のつもりか「キルビル」弾いてるよ。ひとり寂しく。ああ、つらいね、かなしいね。でも母さん、どうすることもできないYO*1

*1:YO=いきなり「ピューと吹くジャガー」でカナシミを紛らわしてみましたーー^^)/

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