中学生

 娘が、自分のモデルとなる「ファッションリーダー」を求めて

 「ねえ、芸能人の中で誰が一番かわいいと思うっ?」と、しきりに兄と弟に聞いている。

 こういう時に限ってダンマリになるのがオトコというものなのか、「なんでおれに聞くの?」とか「おれしらねー」などと答え、女子の固有名詞は一個も出てこない。

 考えてみれば、ここで「あやや」だの「かごちゃん」などと答えれば、一生「へー、ふーーん。そういうのが好みなんだ」という目で見られ、もちろん、それはけして悪いことでも罪なことでもないはずではあるが、自分の名前の前に「かごちゃんファンの」という枕詞がつきまとうことになり、「かごちゃんのどこが?」と、痛くもない腹を探られ、「かごちゃん」光線で全身をスキャンされ続ける運命になるのは必至である。そう考えると、なにがあっても、一定の固有名詞を口に出すのは避け通すのが、賢明なのかもしれず、彼らは本能的にそれを察知しているらしいのである。

 そんなで、脇から母親のわたしが

 「ゴーゴーのユウがかわいい」

と口を挟むと、「えーーかわいいかなぁ? かわいくないよー」などと失礼なことを言う。 「だったら、セブンティーンのモデルじゃない? お母さんは、とくにかわいいとは思わないけど、君の言う意味のかわいいならそうだよ」と、すてばちに言ってやる。

 セブンティーンは、娘が愛読している雑誌であり、わたしもセブンティーンになるまでは(ってことは何百年前じゃあ?)割と好きで読んでいた、集英社の老舗雑誌である。最近では、http://www.myprofile.ne.jp/blog/archive/excite/965 にあるように「もてる」「もてない」「もてれば」「もてろ」などの五段活用で有名になった。

 もちろんわたしは「こんな気持ち悪い仕草すんなよな」と内心思っているが。

 内心じゃなくて、たぶん口に出して言ってる。

 いくら言ったところで、しちゃうもんはしちゃうのだろうね。はー

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