無事故、無戦争がいい

前々回、小泉首相が靖国神社に参拝することになって、それを伝えるNHKのアナウンサーがてんぱっていた話を書いた。
事実は、てんぱっていたわけではなくて何回も読めとカンペに書いてあっただけなんだろうけど、その雰囲気が、まるで戒厳令の夜? みたいな、火星人襲来? みたいな、ハリウッド版GODZILLA? みたいな、その他もろもろで異常だったのだ。

その後の10時頃、小泉さんが靖国に参拝する生映像が入って、見てたら妙にカッコよかった。ボディガードに囲まれて、要人ぽかった。

という、のんきテイストなことを書いた。
ホントは、「参拝するなよっ、中国人がまた怒り出すよ!!」と叫んでいたのだが、歴史にあんまり詳しくないので、そこまで突っ込んだことは書かなかった。
無知って不便だな、といったところだ。

参拝は10時頃だったけど、わたしが書いていたのは夕方の6時頃で、自分の書いてアップした内容を読み返していたら、末次郎の隣のクラスの大山くんのお母さんから電話がかかってきた。

「うちの息子がね、さっきまで末次郎くんと一緒に遊んでいたんだけど、末次郎くんが交通事故にあったって言うのよっ!!
車に轢かれて、3メートルくらい吹っ飛ばされて、ブロック塀にたたきつけられたらしいわよっ!!
しかも、運転手は黙って逃げたらしいのっ!!」

「え”え”え”ええ===------!!」

ここでわたしがあげた悲鳴がいかほどのものか、手書きで書けるものなら、ゲジゲジ状に総毛立たせて回りにペイズリ模様を描いているところだ。
しかし、驚いておいてなんだが、末次郎は小一時間ほど前に家に帰っていて、大好きなカートゥーンチャンネルを見ている真っ最中。
ただし、やけにボロボロのずぶ濡れで帰ってきたのは事実なのだ。
わたしは、大山さんの「あとで症状が出ることがあるから、病院に行った方がいいわよっ」とのクドクドしたアドバイスに篤く篤く礼を言って、電話を切った。

「末次郎!! あんた、車に轢かれたんだって??
ブロック塀にたたきつけられたっていうじゃないっ??
頭打ったの? どうなのよっ」

とやたらと興奮しまくったのはいうまではない。
「ええー? 車に轢かれたらつぶれちゃうんじゃないのーー
ブロック塀にたたきつけられるのは『はねられる』っていうんじゃなーーい」

と、妙に冷静。
言われてみれば、「車に轢かれて3メートルくらい吹っ飛ばされてブロック塀にたたきつけられる」ってどういう状況なのか、なかなか目に浮かばない。
しかし、交通事故用語みたいなモンにこだわっている場合ではない。

「じゃあ、ブロック塀にはぶつからなかったの?」
「30センチくらい離れていたんだけど、ちょっと当たった」
とのことで、やはり車と接触はしたらしい。
「轢かれはしなかったのね?」

「ひかれてたら、ペタンコじゃん? 今頃」
と、ヘヘヘと面白そうに笑っている。
けど、こっちは別におかしくない。ゾゾゾーーっと、するばかりだ。
大山さんが言うとおり、その時は何ともなくても、打ち所が悪ければあとで出てくることもあるのだ。
それに、事故っていうのは、一時的に記憶をなくすこともあるわけで、本人がいくら平気平気と言っていても、起きた出来事を覚えていない可能性だってある。
などなど色々考えれば、安心のための確証はどこにもない。

ということがあって、縁起の悪いネタである靖国の文は、勝手に手がサッサと削除していたのであった。

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