MINUTES TO MIDNIGHT / LINKIN PARK
酒場で陽気に盛り上がる男たちのやんやの喝采で始まる4曲目「Bleed It Out」。
その歌詞の日本語訳(の一部)は以下のようなものである。
いくぜ100回目
戦線に並ぶ手榴弾のピン
投げつけて光らせろ
俺は気が狂いそう
口汚い
言い訳はない
この鋼を吊るす場所を見つけ
屋根から俺を吊るせ
ゆるんで落ちないよう きつく結べ
真実は
立ち止まって見つめられる
全てさらけだしたのに誰も気にしない
壕を掘り
そこに横たわる
シャベルはどこか手の届かないところへ
Yeah
誰か注ぎ入れてくれ
また汚いダンスフロアにしてくれ
祈りの言葉を言って打ちのめせ
このコーラスが始まったら(対訳:鈴木美穂)
この曲は出だしの楽しげな雰囲気と歌詞の内容が随分と食い違っているので不思議な印象を与える。
実際、彼ら自身による曲解説によれば「楽しむことをこころがけた」という。
「全てさらけだしたのに誰も気にしない」は原詩では「bled myself out and no one cares.」で、直訳すれば「自ら血を流した。そして誰も構わない」あたりだろうから、これは妙訳であろうか。また、コーラス部分は「I bleed it out,Digging deeper just to throw it away.」の繰り返しで、この部分は「俺は吐き出す/ただ捨てるために深く掘って」と意味の通じづらい苦しい訳となっている。しかし何にしろ楽しいイメージとは遠く、わたしの勝手なイメージだと、戦場から帰ったはいいが罪業感に苦しめられている帰還兵といったところだ。歌い方は最初わくわくと楽しくフレンドリーで、途中からは呪詛の念すら感じさせる。それでいて、後ろでは陽気な笑い声がときどき湧き上がっているのだから、やはり楽しいのだろうか。楽しい? この状況が?
わたしにはアメリカ人の生きるステージがますます分らなくなった。
いい曲なので(この曲に限らず)文句はないが。
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