戦争と戦後を振り返る。


Japan PM Shinzo Abe makes landmark visit to Pearl Harbor – BBC News(BBCで一面になってました~)

昨日から今日にかけて、首相の安倍晋三氏が真珠湾攻撃に関してなんかやってた。

真珠湾攻撃の追悼施設「アリゾナ記念館」で犠牲者に黙とうをささげたり、演説したりとかだ。演説一部:「寛容の心、和解の力を、世界は今、今こそ、必要としています。憎悪を消し去り、共通の価値の下、友情と、信頼を育てた日米は、今、今こそ、寛容の大切さと、和解の力を、世界に向かって訴え続けていく、任務を帯びています」via:演説全文

安倍氏、しばらく見ないうちにすっかり首相っぽく育っていたのには、ちょっと嬉しくなったのと、捨てるわけにはいかない警戒心の、ふたつの感情がうまれた。

そもそも奇襲なり戦争なりが起きた時、死んだりケガするのは彼ら世界のトップではなくて、こっちなのだ。「和解、いいですね、大いにやってください」としか言いようがない。

ところで、先日、珍しい場所に行ってきた。

しょうけい館 戦傷病者史料館

平成18年に厚労省が九段下に作った、太平洋戦争で負傷した方々の証言を集めた、資料館だ。
証言映像をミニシアターで流す他、関連書籍を多数集めた図書館空間、自身も戦傷者である水木しげるの漫画やイラストを展示した空間がある。さらに二階には、野戦病院を再現した部屋があり、人形が10体ほど、当時の状況が目の前に差し迫ってくるがごとくの形で置かれている。ボタンを押すと、解説音声が流れる。

兵士の人形はものすごくリアルに作ってあり、口渇に耐えきれず禁じられた生水を飲んでアメーバ赤痢に罹り、動くこともままならず寝台から尻だけ出して糞を下に垂れ流し続ける人形をちょっとさわったら、毛布かと思ったものはちゃんとした作り物で固かった。

解説音声は、脂汗を浮かべた兵士といくたびも目が合うので、目をそらしながら聞いた。

幸か不幸か匂いまでは再現されていないため平常心で眺めることはできた。いくら良く作られているとはいえ、やはり作り物であり、迫力はあるようでないのである。まあ子どもが見たら怖がるだろうし、大変な力作であることは間違いない。

↑こちらは一階の図書空間。戦傷はもちろん広く第二次世界大戦に関連した書籍が多数あり。『この世界の片隅に』も目立つように置いてあり、著者ご自身が寄贈なさったようで、中に「謹呈」の文字があった。『この世界の片隅に』わたしも観た。戦争と原爆を語ることや反戦は、ぜったいに陳腐化してはならない、と思ったし、事実、そうなっていない作品だ。広島のあの時に生きていた命が蘇ってそしてまた理不尽に死んでいったような、穏やかなやさしい絵柄なのに、伝えてきた。

↑水木しげる先生が描いたもの。こちらは反対に生々しい怖ろしい迫力がいっぱいだ。どんなに描いても描いても伝えている気がしなくて、もどかしかったろうなあとも。

戦争と、戦争について繰り返し伝えてきた戦後と、戦争の生き証人が皆亡くなろうとしている現代と、その不在を耐えなければならないこれからの時代と。

また、一から考えないとな~と、思った一日だった。


 


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