人格を壊して遊ぶ虐め、どうしたらなくなるのか?
2015年11月11日に、茨城県取手市立藤代南中学3年生だった中島菜保子さん(当時15歳)が、自ら命を絶った。
原因は同級生および担任教諭による虐めだった。
当初、学校も市の教育委員会も虐めの存在を認めていなかったが、菜保子さんのご両親が自ら調査を行い、虐めがあったことを突き止めた。
ここらへんの経緯、まともに追求して調査報道したのは、 人格を壊して遊ぶ…日本で「いじめ自殺」がなくならない根深い構造(内藤 朝雄)によると、週刊文春と産経だけだそうだ。
きちんと調べて報道したり、それについて考えなくてはならないはずが、次々に起こる誰かの不倫、芸能人の物故、政治、経済、エンタメ、国際、グルメ、ゲーム、役立ちコラム、時々猟奇殺人などなどに埋もれ、時間切れになってしまう。
1日は24時間しかない、誰にとっても。
そうこうしている間に犠牲になっているのが、逃げられない閉鎖集団空間で日々を生きねばならない子どもたちだ。
数日前に上の記事を読んで、悲惨で悲惨で、ひどい話だと思っていたところ、わたしの勤める病院にも、小学校、中学校と虐めにあい、今だにその後遺症に苦しんでいる女性の患者さんが入院していた。すでに30歳を超えているが頻繁に起こる過呼吸発作や、夕方に襲われる極度の寂寥感などが症状だ。彼女のように、たまたま自死には至らなくても、虐めによって心を壊された人は多いのではないか。
ハイリスクの巨大組み体操――警告のなかで起きた八尾市中学校の事故(松谷創一郎) – 個人 – Yahoo!ニュース だって、ブラック部活だって、学校で髪の毛を無理に黒く染色させられるのだって、みんな根は同じ。集団至上主義の中で滅私奉公させられる。それを心地よいと感じさせるのが、日本の公教育の目標。
さきに書いた患者さんも、とにかく小学校、中学校とほぼ同じメンツに囲まれるから逃げられないのがつらかったと。そういう関係性の暴力(記事でいう「コミュニケーション操作系のいじめ」)は、発生のメカニズムをきちんと考え、そこから逃げられる、解放され得る教育空間を作ってほしい。
イジメをダメダメ言っているだけでは、まったくもって解決しないばかりか、どんどん巧妙になるのと、教師までが、加担していくことになる。
こんなじゃ、若い人だって、日本の義務教育に子を預けることを考えたら、とてもじゃないが出産なんて気にならないのではと、そっちも心配になる。