翔んで埼玉(劇場で観た映画の感想)

題材が題材(埼玉dis)なだけに、埼玉在住者としては複雑な気持ちになったちゃなったんだけど、さりげに東京都内での上層下層差別も赤裸々。ひっどいこと言うのね~~って、その地域の人が気の毒になったほど。
千葉disにいたっては埼玉disより的を射ていて刺さったワ。千葉施設なのになんでも「東京」って付けちゃうという指摘には、ひっどいこと言うのね~~ って千葉県人が気の毒になったほど。
ようは、誰も彼もが自分の中にひそむ差別感覚、被差別感覚を惹起されて、モゾモゾムズムズ、なんとも言えない不快感にも近い感覚を味合わされて、笑うしかないところに追い込まれていくという展開っちゃ展開。

そういう現実と重なっている面もある一方、面白設定も色々。埼玉県人の最大の悲願が海を県に持ってくることだからと掘って掘って掘りまくるって、おーーい!! 重労働すぎるだろーーー!! しかも霞ヶ浦の淡水が間違って来ちゃったなんて徒労すぎるだろーーー!! っていうか普通に悲しいワッ。そんなで、海に四方八方囲まれた千葉との合戦が番宣ポイントだったわけだけど、あそこが「流山橋」という名称だったの初めて知った。この合戦、ひょっとしてYOSHIKIに始まって延々と出身者対決になるのかと危惧したところ、それは早々に切り上げて、ネタバレになっちゃいけないんだけど、団結して連合軍になっていく、という目の回るようなホノボノ展開。以降、大がかりな群衆シーンの連続で、今どきここまでのモブシーンってレアなんじゃないかしらん? って思うくらい大衆パワーがみなぎっていて、往年の社会主義映画を連想させるほど。

実際、悪の大ボスの東京都知事、通行手形の利権を貪ってブルジョワ階級の頂点。秘境群馬に金塊の山を隠し持っている、という悪も悪なり。ちなみに群馬が秘境なのは都知事の印象操作による陰謀なのだ。この金塊を探し当てるために群馬をさまよっている時の、都知事の息子壇ノ浦百美ちゃんが本当にかわいかった。ちなみに壇ノ浦百美、『この世界の片隅で』で妖艶な娼婦を演じていた二階堂ふみと同一人物とは本気で思えなくて、何度も凝視してしまった。

アホアホ港区民のA組の女子生徒をGACKT(麗)がそのあまりの「都会指数」の高さで熱狂させるシーンが面白かった。この学園シーンが意外と短い。というのも、麗が隠れ埼玉県人なのがばれるのが早いのだ。頭に「さ」が浮かび上がって埼玉県人をあぶりだしてしまうSAT(埼玉急襲部隊)のみょうな装置のせい。このあとGACKTさん、走ったり隠れたりと衣装の華美さと裏腹に重労働。途中であっと驚くキスシーンがあるんだけど。

最後の方は、猛烈な埼玉disとのバランスを取ってくれたのか、ちょっとこそばゆい結末になるので、これはこれでモゾモゾした。
どっちにしろ埼玉はモゾモゾするってことだろう。

◆映画中頻出した謎のポーズの由来→→そうだ埼玉.com発「埼玉ポーズ」とは?埼玉ポーズの由来を作った人が解説 | そうだ埼玉.com

◆参考にした本(サンプル部分)→映画『翔んで埼玉』公式ガイドブック/魔夜峰央/著 映画「翔んで埼玉」製作委員会/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

◆なぜか茨城県人がいじけてるのが印象的→「翔んで埼玉」に関する感想・評価【残念】 / coco 映画レビュー