【原発】母との電話。あらためて、大飯原発再稼働反対だな
朝起きて見ると、携帯に「大分・熊本の豪雨で死者が出た」というニュースが流れていた。
まさかのまさかと思い、大分の母に電話した。
三回のコールで出た母は、眠そうな声だった。そっちは大雨じゃないのか聞くと、
「こっちもずっと降っているけど、豪雨がすごいのは大分の中でも、竹田とか、滝廉太郎が歌にした、ほら、あそこらの、山間部なのよ」
とのことだった。母はさらに
「えと、滝廉太郎の、何だっけ何だっけ」
と言い続けた。
わたしは滝廉太郎は知っていたけど、曲名が出てこなかった。小学校の歌集を思い出そうにも、ぜんぜん出てこない。
「あーーーーそう、荒城の月よ!!」
と、ほどなくして母は眠気の覚めた声で言った。
「ああ、あれかあれか。あったね、そうそう」
荒城の月が大分だったとは知らなかったが、まあ、そういうことならそういうことなんだろう。
母は共産党なので、話しは大雨から大飯原発再稼働の話しになった。
なんでも赤旗日曜版には毎週、官邸前デモの事が載っているという。
母は、次第次第に、熱心に語り始めた。
「どうして大飯原発が再稼働になったか知っているかい?
国会事故調の結果が出ただろう? あれで、原発事故は『人災』って結果がハッキリ出たんだよ。
あの結果が出る前に、再稼働してしまいたかったのさ。
東電はずっと事故の原因は津波と言っていたけど、実際は地震だった。
だから、大飯原発にも万全の地震対策が取られていなくてはならないけど、実際はそこまでいっていない。
津波に対しても、防潮堤が必要だ、何が必要だと言われているけど、できてないんだ。
(関係機関・研究者は)東北太平洋沖地震をまったく予知できず、対策をこうじて置くこともできなかった。
その痛恨の思いがあるから、次に同じことを起こさないために、大飯原発下の地盤を調査した。
そうしたら、活断層があることがわかったんだよ。
東電の原発と、同じことが起きる可能性は、じゅうぶんにある。
絶対に、起きてはならない事故が、また起きる可能性はあるんだ。」
母は今年74才なのに、実に理路整然としていた。
大飯原発再稼働をなぜ反対しなくてはならないか、真剣に話してくれた。
自分でもそういう知識はあったけれど、猥雑な知識(デモによって政府を動かすにはどうしたらいいのか、など)もあったため、シンプルな地点をなくしかけていた。
母の話はさらに続く。
「元防衛大臣のイシバシっているだろ?
イシバシが言ってたね、原発に使う燃料は、核兵器に使えるんだって。
核兵器作る技術は日本にはあるんだって。
いつか作る時のために、プルトニウムとか、確保してなくちゃならない、そういう意義もあって原発は必要なんだって。
イシバシが、言ってたよ」
(イシバシはイシバだろうけど、どっちでもいいので訂正はしなかった。)
核兵器。原発を動かすほんとうの動機はこれだろうと、言われているやつだ。
それに対するわたしの意見はこうだ。
「もしも核兵器を開発したいというのなら、それはそれ、原発とは別に考えてほしいよね。
(ここで母が目くじらを立てて反論するのかと思ったら、そうではなかった)
原発は電気を作るための施設なんであってさ。そこを混同することは、ぜんぶを誤魔化し誤魔化しで進めることで、国民とか市民にとって、一番許せないことじゃない?
堂々と核兵器もちたいならもちたいで、憲法改正も含めて議論していいんでない?」
母は、当然「非核三原則」の人である。
が、同時に「みんなちがってみんないい by 金子みすゞ」な人なので、わたしの話しも聞いていた。
(なにせ九州の親戚とも意見が違ってばかりなので、そうでも思ってないとやってられないと、今さっき言っていたばかり)
「あ、今日金曜日だね、お前も官邸前に行くのかい?」と、母。
「今日は夕方から仕事だから行かないけど、16日は行くと思う」
「ああ、16日にも、大規模なのやるみたいだね」
と、ほんとうによく知っている。
その昔は、家のこともほっぽらかして反核デモとか、赤旗まつりとか行ってた人だけど、今は随分と丸くなった。
昔より、母のことが好きになった。
いろいろなものが、さりげに大きく変化している。