木に気苦労
時間は数ヶ月さかのぼり、今年の夏の終わりのできごと。
昨年引っ越してきたときから、雰囲気が異様な木があって、木だけに気のせいかなと思いつつそのまま放置していた。
したら、夏の間ますます鬼気迫ってきたから、おそるおそる近づいてよくよく見てみると、蟻が上ったり降りたりしている。いったい蟻がこの木に何の用があるのだろう? 木は、特に実も花も付けていない、冴えない枯れた葉を付けているだけの、やせ細った老木じみた木で、もちろんわたしはその木の名を知らなかった。
せめて木の名前が分かっていれば、もう少し愛着もわいたろうに、名を知らないというのはザンコクな結果をうむものだ。
つまるところどーーでもよくなって、「ぶったぎっちゃお!!☆」なんて発言が生まれた。
それでも、しばらくは、何となく静観していたが、そのうち木はどんどん無残な気配を漂よわせ、きょわいなーって感じになっていった。
なので、もう、思い切って今年の夏の終わり、ぶった切った。
そしたらば………
幹の中央が、すっかり蟻の通り道になっていて、気色悪い穴がボコボコボコボコあいていたのだった。
ぎゃーーーーーー
あまりに不気味なため、写真はあえて小さく掲載します。
なにかの加減でここに来訪したいたいけな幼女が、夜ひきつけを起こしてはいけませんので……
とにかく、もう一度言う。
ぎゃーーーー
というこの一件で、当方すっかり木に嫌気がさして(それプラス、木の伸びが速すぎて剪定に追われて疲れたというのもある)、だから、できるだけもう木を庭には植えまいと決意している。さらに、今現在生えている木(不動産屋が家の売り出しの際植えたやつ。前の住み主さんすら木の名前を知らなかった)も、何本か切ってしまった。
ぜんぜん、後悔はしていない。
どの木も実に生気の欠けた状態だった。
たぶん、住み主が変わって、そやつらの愛着のなさが伝わったのだろう。
なんて言ったら似非科学みたいだけど。
似非科学でも何でもいい。
わたしはどんな言い訳もいとわず、気にいらない木はぶった切ってしまうと決めたのだ。
けど、恐ろしいことに、木というやつは底知れぬ根性もちで、
切っても切っても、切り株からすぐに新しい芽が出てしまうのだ。
これにはどうしたらいいのか? と悩んでいたところ、
「黒いビニル袋を1年くらいかけておくと根っこごと死ぬ」
と、yahoo知恵袋に書いてあって、本当に助かったーーーと思った。
そういう事で、5本くらい木を切ったものの、あいにくと名前を知っている木があって、なかなかそれは切れないでいる。
その木、とは「もみじ」。
もみじといえば、あの歌が浮かんできますね
秋の夕日ーーに、照山もみじ、濃いも薄いも、数ある中に、秋をいろどーーる、かえでやつたは、やーーまのふもとのすそ模様ーーー
で、秋の夕日ーーに、のあとは 秋の夕日ーーに、と輪唱する。
さらに、やーーまのふもとのすそ模様ーーー のとこはパートがアルトなら低く歌うわけっすねーー
そんな感じのことを思うと、なかなかぶった切ることってできなくて、そのままでいいかなととも思う日々だ。
なぜか、数枚の葉だけが紅葉している。
あと、たぶん下手な剪定のしすぎで痛んでいるのかもしれない。
むずかしい…
木苦労が耐えない