3月号に続いて、二度目の登場。
業界のことに疎いわたしには、ラルクが音楽シーンの中でどういう位置づけなのかぜんぜん見えていないのだけど、ラルクの側にとって「音楽シーン」はさほど意味がなさそうには見える。それは一種不遜な気配を漂わせてもいて、それが魅力でもあり、ちょっと冷や冷やする感じでもあるのだ。
そんな中、こういう専門的そうな雑誌が記事にしていて、とにかくそれは嬉しいことだと思った。これからもそうあって欲しいし、それによってtetsuが言う「過小評価」が変わってくれるといいなぁと思う。
そういえば、この雑誌は少し前に前回の編集長が変わって、随分と若返ったという話しだ。誌面にも何か若返り効果があるのだろうか?
以下に、紙面構成紹介と、各々に対する感想をアップする。敬称略。
★1-2p:見開き写真。背面から捕らえた、ステージに立つtetsuとhyde。中~遠景にかけては、暗いながらも観客の姿がかなり奥行き深く写り込んでいる。
★3p:ステージ上のken
★4p:同じくhyde
★5p:同じくyukihiro
★6p:同じくtetsu
★7-8p:「本番直前に円陣を組んで全員で手を合わせた瞬間」の写真、見開き
★9-12p:編集長古河晋によるツアー潜入レポと写真
★13-16p:高橋美穂による横浜アリーナ二日目のレポ
★17-28p:tetsu20000字インタビュー tetsu写真豊富
★29-30p:6人のライターが9枚の全アルバム=’93/07『DUNE』~’04/03『SMILE』をレビュー。1枚に付き約400文字。
中で良かったのは、1-2p:見開き写真。7-8p:「本番直前に円陣を組んで全員で手を合わせた瞬間」の写真。17-28p:tetsu20000字インタビュー。編集長によるツアー潜入レポも面白かった。
★1-2pの見開き写真は、3月号のインタビューでtetsuが答えた通りを再現したかのような、ステージ上の自分(tetsu)の隣にhydeがいる「いけてる」場面。当時、「ひたすら闇に徹していた」(本人談)というhydeに出会った時、tetsuの中にどんなビジョンが広がったろう? その時tetsuの見た夢こそが、L’Arc~en~Cielの原型だと思える。この写真はそれを目に見える形にしてくれたわけで、残念なのはhydeくんの後ろ姿がさほど美的ではない点だけれども、それ以外は、夢と現実を多重露光したかのような、きちんと考えあって撮った写真に見えた。
★7-8p:「本番直前に円陣を組んで全員で手を合わせた瞬間」。「ハートに火をつけろ! 」(ライブビデオ/DVD)にも同様のシーンがあって、彼らの(特にhydeの)あまりの素顔感は好感度200%以上だったわけだが、今回写真に撮ってくれて、やっぱりダテに長年音楽誌やってるわけじゃないんだねぇ、と思った。
★17-28p:tetsu20000字インタビュー。この前tetsuが出した『哲学。』とテーマはかぶるところも多いのだけど、こっちのが面白い。ことに、tetsuが自分のソロ活動を挫折体験と位置づけ、ソロが不評だったためにかえってラルクを再開しようにもできなくなった心理的いきさつを語るくだりは、可笑しくて笑えた。こういうところに編集長若返り効果があるのかもしれなくて、tetsuがやっとリラックスして素直な自分を出した感じがして、なんとなくハッピー気分になれた。といっても、この人の反骨精神は、「ロック魂」なのか「現代に蘇った『明治の男』」なのか分からない、手強いものがあるのだが。
★目玉である、ツアー潜入レポート。やはりこういうのはプレスの人間でなくては書けないことなので、とても面白かった。そんでも最後の「そして化け物であるこのバンドを制御しようと、ストイックに格闘するスタッフやクルーがいた」って、具体的にどういうことなんだろう? あと、「ステージに向かうラルク アン シエルはやはりどこからどう見ても瑞々しさを失っていないロックバンドだったのである」って、難しい誉め方するなぁ。どう解釈したものか、まだ消化しきれていない。
★13-16p:横浜アリーナ二日目のレポ、これはなかなか読み進めることが出来なかった。理由のひとつは、レイアウトのせいで目がチラチラしてどこを読んでいるのか分からなくなってしまうからだ。こういうの、WEBだったら「背景に模様がある=悪い例」として、アクセシビリティ落第になるのに、印刷物だとよく見かけるのは困ったもんだと思う。いくら若者雑誌だからっていっても、若者みんなが目が頑丈とは限らないのに。それに若者が読むとは限らないのに。(ハイ自分) もう一個の理由は、冒頭の段落に「この国のロックを4人で背負うという自覚が表れているのではないか。」なんて書いてあって、「えーー? そんなこと思ってたのーー!?」とゲゲゲと鼻白んだからなのだ。
そんでも腹をくくって読んでみると、書かれてある内容は、すでに相当量の「ライブレポ」をネットで読んでいるわたしにとって、既視感の横切るちょっと退屈ぎみな読み物だった。もちろん、純粋にファンであるネットの書き手のレポの方が、熱気のおもしろみがあるのは言うまでもない。あえて有利な特徴があるとすれば、高橋さんは10年以上前の初期ライブを見ているらしく、文体が少女っぽい割にはトシ取ってるのかなー? っていうか; 「昔との比較」が出てくる点だったろうか。それによると、「昔と変わっていない」印象だったそうだ。
それはそうと、「この国のロックを4人で背負うという自覚が表れているのではないか。」に続けて彼女は、「ならば、それをこの目で確かめたい—」と書いて、本文の枕にしている。だったらそれが確かめられたのかどうかという結論を、最後にはもってきてほしかった。こっちにしてみても、「この国のロックを4人で背負うという自覚」を持っているのかいないのかによって、抱くイメージが違ってくるのだから、そこんとこ宜しくなのだ。
後半部は、全体的にいい事が書いてあった気がする。しかし、この人の書いた他のバンドについての文章も読んでみないと、「なんだ~、誰にでもそう言ってるのね。例えば『世界を変える可能性に一番近い場所にいる』とか」となるかもしれないので、よく分からない。(なんせ、ほんとーによく褒めちぎっている雑誌なのだ)
★全アルバムレビュー:本来のファンにとってはさほど意味はなくても、ファンでない人向けということならいいものだと思った。
★その他の感想:どうしてロッキングオンがtetsuを撮るとスガシカオになるのだろう 不思議@@
以上、ロッキングオンジャパン7月号はまだ売ってます。