高校生、バンド。文化祭を目指して! 第四回

 《前回までのあらすじ》
 上の「高校生」をクリックしてください。出てきます。

 「高校生」「バンド」なんて書くと、いかにも輝かしく青春している錯覚に陥るが、うちんちの息子は村上龍の『69(シクスティナイン)』ではないのである。

 言うまでもなく彼は妻夫木聡ではないし、ここは佐世保ではないし、今は1969年ではない。

 しかし、わたしにほんのちょっとでも小説家の才があれば、キラリとした輝きを、彼のセブンティーンの今の中に、見つけだしてあげることが出来るかもしれない。

 話しは前後するが、ベースやドラムと音を合わせるようになると、達也はたちまち「バンド」の魅力に取り憑かれた。こうなると、もっともっと練習したくてたまらない。
 その頃になると、ACIDMANに拘泥する気もなくなって、「全部ラルクで統一した方がキレイかな」なんて考えになり、「Driver’s Hight」以外に、最新曲の「自由への招待」の練習も始めた。

 ACIDMANにこだわる気がなくなった他の理由は、バンドメンバーが一挙に6人に増えたため、ACIDMANをやると3人余ってしまうからだ。最大、ボーカルとギターを分離するとしても二人余る計算で、まさかバックで踊ってるわけにもいかない。

 さて、そんなノリノリ気味のかれらに、最初に訪れた試練は「文化祭オーディション」であった。
 へ? オーディション? そんなの出たい人全員出ればいいじゃん? と思うけれども、どうやらなぜかオーディションがあって、20組中2組くらいは落選するらしいのである。
 さて、バンド名もまだ決まってないかれらであるが、その実力、20組中18組目には入っているのであろうか? まさか入ってるよね? いやいや、予断は許さない。校内には、「ゆず」みたいの。JAZZ系の。ゆる目HIPHOP。Led Zeppelinのばりばりコピーバンド(今でもいるらしい)とあれこれ時代感もさまざまに混交しているのだ。

 オーディションの前日、ずいぶんと緊張しまくっている達也の姿があった…

(つづく)

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