映画、何を見ようか+

「映画見に行こうよ!」と末次郎が言う。末次郎が今見たい映画は『マスク2』か『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』か『コンスタンティン』だ。しかし一応母親に気を遣って「お母さんの見たい映画でいいよ」と口では言う。

「じゃあ、『真夜中の弥次さん喜多さん』にしようか」とわたし。
「なにそれ?」
「クドカンがハツカンしたしりあがり寿原作の映画だよ」
「はーーー??」
いくら映画好きとはいってもまだまだ小学生なので、意味が通じない。
「でもねぇ。あれは○△まで出ないとやってないだろうね。面倒だな」
「○△? 電車に乗るのはやだ。オーバーランしたらやばいから」

それで思い出したが、数日前に「報道ステーション」で、あの事故にあった人が当日の様子を伝えていて、とても怖かった。その女性が語ったのは、あたたかいものがパンストの上にドンドン流れてくるから「何だろう」と思って見たら、それは誰かの血液で、「気がくるいそうになった」ことや、倒れた自分の側に死んでいるのか生きているのか男性の顔があって、その人の顔を思い出していつまでも忘れられないことや、また、極度の不安状態にある中救助してくれた人のこと、などを涙をこらえながら話していた。

その話しを聞いて思ったのは、自分だったらそのような状況の人を助けられるかな? という心許なさだった。彼女の場合は、小指がちぎれかけ、右手の相当部分がえぐれ、大量に出血していたそうだ。誰かに「気持ち悪い」と言われ(その人も被害者で混乱していたのかもしれない)不安が増幅している。反対に救助してくれた人はその手を布で包んで(隠して)、おんぶして救急車に乗りやすい位置まで運んでくれたそうだった。
「ダメだ。オンブなんてわたしはオンナだからできない、やっぱ男性がやってくれなくちゃ」なんてズルイ逃げ口上を考えつく。いやいや、オンブだけが必要な方法ではないはずだ、他にも色々あるはずなんだ…

「大丈夫だよ、○△まではJRじゃなくて○△線(私鉄)だから。それにJRだとしても、こっちはJR東日本だからね、違う会社。体質もぜんぜん違って、皆がそれぞれ自覚をもって働いて、常に乗客の安全を第一に考えているんだよ。だから歯車の一個になりきるような愚は犯していないしね。」
「新型ATSも付いてる?」
「付いて付いて付きまくっているよ。」
…いくら子供を安心させるためでも口から出任せはよくない。これらは、すべてそうだといいな、という希望的観測であって、わたしは真実は知らない。

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