長い名前の男児、誕生

つい先日、友人のムトーちゃんが赤ちゃんを産んだので、赤ちゃん見物を兼ねお見舞いに行った。
当初、ムトーちゃんは女の子のつもりでいたのだが、途中から「立派な男の子ですよ」と言われ、急遽男児の名前を考え始めた。

その名前が石原裕次郎みたいな、田原総一郎みたいな長い名前で、最近は「翔」とか「翼」とか「蓮」とか「陸」みたいな名前が流行だっていうのに、長いねぇなんて言っていたのだった。

見舞いに行くと、そこはベルサイユ宮殿かと勘違いするくらい豪華絢爛な産婦人科病院で、わたしは「もっといい服着てくるんだった~」と後悔した。
内装の豪華さはもちろん、医療設備も最新らしく、4D超音波診断とかいろいろある。それに入院部屋も豪華な個室で、液晶マルチメディアモニターが完備されていたり、だ。 *1

新生児室に並んだ赤ちゃんを、ガラス越しに眺めながら、18年前生まれたわが子を思い出した。

いや、より正確に言うと「ここで18年前を思い出してみようかな」と、ちょっと自分の中で作為した。
思い出しても、ただただ流れた時間の膨大さをとりとめなく思うばかりで、悲しいとか、寂しいとか、そういう感情はない。

隣で一緒に赤ちゃんを見ていたムトーちゃんに
「うちの子も、18年前はこうだったんだよねぇ」というと
「アッという間だった?」と聞くので
「アッという間だったのかなぁ…? どうかなぁ。やっぱアッと言う間かなぁ?」と煮え切らない返事になった。
「私もいつかいっぺん言ってみたいんだよねぇ、アッという間だったって」
「そんなの、必ずいつか言えるよ」

思えばわたしも子育ての愚痴をこぼしていると、年配の女性に、「大きくなるのなんかアッという間だよ」と言われたものだ。

その時は陳腐に感じたものだけど、実際、それ以外に言いようもない。
しょうがいないからわたしも、年若い友人にありふれた印象を与えようと、そう言うしかなかったのである。
次に誰かの赤ちゃんを見に行くときは、違うせりふを言ってみたいものだ…

見舞いには使い捨てカメラを買って行ったので、ムトーちゃん夫婦と2才のおねーちゃん、それと長い名前の赤ちゃんの写真を撮った。
まだ現像に出してないけど、この写真は、うまく写っているといいなぁ。
生まれたその日に写したものだし、本当にそう思う。

*1:ってもね、くるしいのは同じみたいよ。それにそこは、陣痛室に当たる部屋の自由度が極端に少なくて、ほかの病院は分娩台に上がるギリギリまでトイレ行ったりジュース飲んだりできるけど、早くから専用の部屋に入れられてモニター類のコードでガンジガラメになって、身動きできなくてスゴクつらかったって。最新式も困りものよねぇ~

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