馬鹿でかいラジカセを抱えたマドンナが、股間の切れ込み鋭いレオタード姿でダンスフロアにあらわれ、音楽とともに踊りだす。

それも、ひとつひとつのポーズが柔軟体操の限界に挑戦したような開脚180度で頭を床にグイグイつけたり、足を頭の上へ限界まで持ち上げたりと、かなり誇示的でもある。そして、体つきは、ひとことで言えばパーフェクト。

年齢を言い過ぎるのもどうかと思うが、彼女デビュー当時がちょうど成人式であったわたしとしては、

「すごおお。トシ、いくつ?? たしかあたしより、3、4歳上のはず…」

と目をひんむいたのは、無理からぬ話だと思う。

画面はマドンナひとりのみでなく、ピザ屋のコック、ストリートの子供、どこかの建物にたむろするダンサー志望の若者たち、ニューヨークの地下鉄で口論する黒人たち、夜の繁華街、夜のダンスホールと、場面や登場人物を変えつつ進行する。
その中にちょっと幻想的なシーンがはさまれる。

マドンナがスポットライトを浴びながら、ラジカセに馬乗りになって腰を上下させたり、ラジカセと寝ながら踊ったりする。まるでラジカセとまぐわっているように。

ダンスホールというよりももっと汚いような場所で人々が踊り狂っている。

登場人物がやたらめったら多いのは、最近の音楽ビデオの特徴ではないだろうか。漫画用語というか映画用語でいうところのモブシーンのように。モブシーンの中で、マドンナは目立つ存在ではあるが必ずしも中心とはいえない。その場にいる個々は最大限みずからの力で輝こうとしているし、それを妨げるような演出ではないからだ。

……今日の昼間ケーブルテレビで「Hung Up」のメイキングを見た。
地下鉄の口論のシーンは、マドンナが「世の中をよくするのはどうしたらいいか、話し合って!」とけしかけたもの。
「地下鉄なんて20年ぶり。あの頃は無名だったし」とマドンナがいう。
20年ぶりとは、「ライク・ア・ヴァージン」の頃だろうか。

去年の暮れ、「Hung Up」でマドンナの健在ぶりを見て、マドンナのもつ音楽的にはチープな感じ、その分肉体労働者のようにカラダを酷使して表現に挑む感じが、本人はビバリーヒルズかどこかに住んでいるのだろうけど、いろいろな階層の人の感情と響き合えているように思えた。

むしろ、これからがマドンナの時代、かもしれない。


参考1:
パソコンテレビ GyaO [ギャオ] 無料動画 |MADONNA| ビデオクリップ29本一挙放出!

FireFoxではビデオ見れなかったけど、見なくても一覧するだけでも楽しい
2:マドンナのレオタードが向かう先
この文章はうまいこと言い表してるなぁ…と感心していたら、ブロスに書いてる人だった。道理でネ