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「オープンダイアローグ」を取材した番組をみた。

相模原事件を受けて 精神医療は今(2) 海外の事例「オープンダイアローグ」 – ハートネットTV – 2017年04月05日の放送 – NHK福祉ポータル ハートネット

「オープンダイアローグ」発祥の地であるフィンランドの西ラップランドにある「ケロプダス病院」に取材した番組。
取材班が入るのは初めてだそうだ。

「ケロプダス病院」も、昔は他のせいしん科と同様の治療法をやっていたという。オープンダイアローグの創始者といっていい人が取材に答えていたのだけど、彼は、家族との関係に着目して研究をすすめていき、オープンダイアローグの手法を確立した様子だった。彼が最後に言っていたのは、

「私達がするべきことは患者を理解することであって、病名を付けることではないのです」

番組はこの他にも、ケロプダス病院所轄地域における、せいしん科医師と看護師の女性コンビの活動を伝えていた。女性ユーザー(旧来でいう患者)の元を訪問し、近況や困っていることを聞いたり、雑談をするのだ。その後に、その人の目の前でその人について話し合う。目の前でというのが大きな特徴なのだ。それにより、ユーザーが自分自身を客観的に見れるようになる効果があるという。

番組の後半は、フィンランドから一転して日本に戻り、兵庫県淡路島で行われている「ピアサポーター」の家庭訪問の紹介。

「ピアサポーター」というのは、通常だと医師や看護師や作業療法士などの職員がサポートするところを、患者であった人のサポート、ということだ。つまり、自分が実際の体験者だったわけではない職員ではなく、ほんとうの気持ちが分かる本当の体験者がサポートする仕組みだ。

なので「オープンダイアローグ」とはまた違う理念であるが、日本のこころみとして紹介したのだろう。

その一方わたしが心配するのは、「オープンダイアローグをやっていないくらいに遅れた日本のせいしん科だから受診しても無駄」と、不信感を持ちすぎて、治療の機会を逃すことだ。あとは、治療をはじめても自己判断で中断したり。

これはとても良くないことだ。自分のせいしん/身体状態が悪くなる事態は、世の中が良くなるのを待っていてくれない。もっと良い方向を求める意識は社会全体で持ちつつも、今存在しているものを全面否定はせずにベターをみつけたい。

後日付け足し。
ケロプダス病院の医療区で一番印象に残ったのは
「わたしたちがコミュニティを支えているのです」という意味を誇らしく言っていた女性だ。
「オープンダイアローグ」はその人と、家族や学校にいる人との関係のやり直し作業といっていい。病んだ人ばかりではなく、地域に暮らす人々との関係をつないでいる。つながりがないと行い得ないのが「オープンダイアローグ」であるから、もとはそのためにあったのだろけど、結果として、病む病まないに関わりなく、人々をつなぐ。その役割を果たしている。