ダンケルクをみた。
『ダンケルク』の監督は、1970年生まれイギリス出身のクリストファー・ノーラン。
ノーランの2010年作の『インターセプション』、2014年の『インターステラ-』と、どちらも面白かった。前者の「夢共有テクノロジー」という魅力的な発想、斬新すぎる映像、後者の息苦しいくらいのイノセンスと設定と展開。
その新作ってことなら、観るしかないでしょう。
ただし今回はSFではなく、第二次世界大戦中にあった戦争実話だ。
正直、戦争実話物は、そんなに観たくはない。
が、ともかく観たのだった。
~~ 以下、観てから読んでくださーーい。~~
いきなりだが一番の感想は「ドイツの若者って大変だな、いつまでたっても悪者としてのドイツばかりを描かれて」と、いうものだ。
戦争が終わって72年。ナチスドイツを動かしていたのは、今の若い世代の親の親の世代だろう。
ダンケルクでドイツの戦闘機に乗っていたドイツ人だって、必ずしもヒットラー信者とは限らないし、人であることに代わりはないのに。
そろそろ、イギリス人、フランス人、ドイツ人の三者三様にフォーカスした映画があってもいいんじゃないだろうか。
戦争映画って、どうしても悪者が必要って構図に代わりはないんだねえ。
話が終わっちゃうので、その感想は脇に置いておくとして、期待した「ノーランらしい面白さ」はあった。
複数の人と、複数の状況、複数の幸運と不運が、同時進行する。
連続したストーリーというよりも、運命の一瞬一瞬が描かれる。
そしてそのどれもが悲劇。幸運かと思ったら、あ、不運だった、みたいになる。
悲劇、悲劇、悲劇の連続。
けど、意外なことに、最後はだんだん明るくなって、普通の映画っぽくなった。というのも、民間人も救いにやってきてくれるし、撤退作戦が成功する。
双眼鏡で総督?が、民間人の船を認めて顔を輝かせて「HOPE」(訳は故国)と言った場面では、こちらの気持ちも一気に明るくなったものだ。
とはいえ、本編で特筆すべきは救出の方ではなく悲劇の方だろう。悲劇がこれでもかこれでもかと折り重なってできる、悲劇のミルフィーユ。観ている最中は戦争ってやだな、悲劇でいやだなと思ったが、明るい結末が近づくにつれ、観るべきは前半部なのだと思った。
ウィキペディアによると「331,226名の兵(イギリス軍192,226名、フランス軍139,000名)」が救出されたとあるのだが、元々の数がよくわからない。
映画中では、引き潮で戻って来た遺体だけでも相当な数だったし、海面の火災で失われた命、さらにまた「その死に方だけはしたくない」とゾッとさせた溺れ死。
(今、ダンケルクの宣伝動画を確認したところ、40万人と書いてあった。つまり7万人が亡くなるか捕虜になった)
明るい結末と書いたが、作品の最後を締めたアレックスは、助かった後も決して明るい顔をしていたわけではない。
現場を体験したわけでもない新聞記者が書いた、お気楽な記事を読み上げながら、陰鬱な表情は変わらなかった。せめてもの、「歴史」への抵抗かもしれない。
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