感想つづき:無業社会
無業社会 働くことができない若者たちの未来 (朝日新書)
著者 : 工藤啓 西田亮介
朝日新聞出版発売日 : 2014-06-13
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聞き慣れない言葉である「無業(社会)」だけど、直感的には「職業がない(人が多い社会)」ということなんだろうなと思った。当たっているだろうか?
本書での定義は
誰もが無業になりうる可能性があるにもかかわらず、無業状態から抜け出しにくい社会。(それはまさに2010年代の日本社会)
ということだ。
ここで自分でも、公式にはどうなっているのか、統計局のサイトで調べてみた。
参考:統計局ホームページ/統計表で用いられる用語,分類の解説4)
↑ちょっとした驚きなんだけど、「完全失業者」というのはれっきとして労働力人口に入っていた!
「求職の意志があり、求職活動をおこなっている人」は、失業者であり、労働力人口なのだ。
さらに「非労働力人口」に入っているからといって「無業」なわけではない。学生や専業主婦などは除外対象だ。それにしても「非労働力人口」は4463万人もいると書いてあって、えええ?? そんなに?と何度も見返すくらい驚いた。(この下)
やけに多すぎる気がするのでさらに調べると、総務省|平成26年版 情報通信白書|我が国の労働力人口における課題というのがあり、15~64歳の生産年齢が年々下がり続けていることが書いてあった。
つまり4463万人は正しいのだ。しかし、ここで興味深いのは「我が国の非労働力人口における就業希望者は2013年平均で428万人であり、内訳をみてみると、女性が約315万人」であるとのこと。ということは、失業者とは別枠で、非労働人口の中の「就労希望者」も公式に存在している、ということである。
そのように考えると、「無業」および「無業社会」という言葉をあらたに提示しなければならかった理由も、だんだんとわかってくる。
著者らは、若年無業者白書——その実態と社会経済構造分析で、若年無業者を三タイプに別けたそうだ。
- 求職型・・・就業希望を表明し、かつ求職活動をしている個人(「失業者」とほぼ同じ)
- 非求職型・・就業希望を表明しながら、求職活動はしていない個人
- 非希望型・・就業希望を表明してない個人
どのタイプも、いったいどうした?? と気になるではないか・・・・。