『車輪の上』(のサンプル部分)について
乙武 洋匡(おとたけ ひろただ)氏がnoteで「本が売れない」と書いている。乙武氏の処女小説?『車輪の上』が9000部程度しか売れていないそうなのだ。
さまざまなメッセージを込めつつエンタメ性も加味した自信作であり野心作の様子。なのに、どうしてこんなに売れないのだろう? と強く嘆いているのである。
ふーーんどんな本だろ? と興味を持ったのでgoogleプレイで本のサンプルを読んでみた。
デジタルブックの場合サンプルはもくじと最初の数ページだけとなる。ここで読者をひきつけないと「購入ボタン」を押さないため、小説にとってもっとも重要な箇所だ。
いかんせん、ここに無駄な描写が多かった。
イントロなので状況説明しようとしたのだろうが、説明というやつはつまらないので、読者は惹きつけられない。
世の中には面白くするために書き出し5行目で会話を入れろ、などのセオリーもあるくらいだ。
会話は人間同士の絡みになるので、もっとも生き生きとしやすいし、絡みに読者は興味をもつからだ。
最初からホストの世界を出してガツンと惹きつけ、あとから上京当時の様子を回想しつつ説明も織り交ぜるとかでよかった。
実際、ティッシュ配りのあんちゃんが出てきたあたりからは面白かった。
そしたら・・・・
というのが出てきてしまい・・・・・
当方は絶句した。え??1296円???
どれくらいの時間「1296円で購入」というボタンを凝視していただろうか?
もちろん一時間も眺めていたわけではない。きっと10秒くらい。冷酷な判定が下される瞬間である。自分、ひでーやつだなと思わないでもなかった。車椅子の青年の話であり、この青年には下肢があり(立ち上がってよろける描写あり)、上肢もある(ティッシュの受け取り場面があるので)。
なので、乙武氏とも違う。自分の事が書きたいだけの小説とも違うようなのだ。
ま、いろいろ考えていたら、この先を読めたら読みたかった気もしてきたな。