近況報告。もしくは『快適生活研究』(金井美恵子著)のアート部分
早いものでもう1月が終ってしまった。
右サイドバーには、先月に見る予定だったテレビ番組をズラズラと並べているけど、全部は見れなかった。
なにせ、予定外に家を買っていたので忙しかった。家の購入ってのは、何度も何度も不動産やに足を運んだり、役所に足を運んだり、印鑑を作ったりと、次々にやることがある上に、うちの場合ワケアリの夫であるから、わたしの名義で買うことになっていて、ちょっとした書類上の誤魔化しをしなくてはならなくて面倒で大変だった。さらに同じ時期に子どもの高校受験もあったので、合格祈念を込めて粛々と緊張感をもって暮らした。それでも、頑張った甲斐あって銀行の審査も通り、とうとう夢にみた一戸建ての家に住むことができるようになった。引越しが済むまでは油断できないし、それに築20年くらいの中古物件とはいえ、ばんざーいばんざーい。
そんなで最近は空前の買い物ブームが巻き起こり(自分内)、興奮しまくって毎日毎日ネットの家具サイトを見て、自分の机と家族みんなのダイニングチェアの、両方を変わりばんこに見て、インテリアのテイストを何で統一するかってことで、北欧風かアジアンかポップかアンティークかカントリーかパリのアパルトマン風か、悩みに悩み、見れば見るほど全部買いたい気分になって困ってしまって。そればかりではない。セブンイレブンに入っては今まで気づきもしなかった家具や雑貨の通販雑誌を何種類か買って、ふと見ると昔よく見た「通販生活」(byカタログハウス)なんかもあったので、約15年ぶり?くらいに買って家でためつすがめつ眺め倒す日々を送った。「通販生活」は相変わらず呆れるくらいにどの商品も高くて、けど「欲しい!!」って気には無論なってしまって、一番欲しくなったのは1万2千円の「伊・ファベ社のメディカル枕」と「デロンギ社の深むしアロマ」というコーヒーメーカーで、見れば見るほど欲しくてたまらんで、「通販生活」の口上を読んでいると、当該枕以外は全部論外、当該コーヒーメーカー以外はみなウンコ!! に見えてくるから絶対買わなくちゃと思えてくるのだけど、実は2千円の枕で爆睡している自分がいて、コーヒーメーカーについてはガラスのポットを家人が割ってからこっちヤカンで煎れているから当分それですませばいい、とか考え、第一よく考えたら家の購入とぜんぜん関係ないじゃん!!な品物だから今買うことはないのだ。
とまで冷静になるのに数日を要した。
あと本屋にも行ってインテリアの本を何冊か買った。どれにしようか迷ったけれど、いつまでも迷っていられないので、目に止まったのが天才収納家で有名な「近藤典子」、の隣にあった『辰巳渚の新・収納スタイル―「捨てる!」からはじめる』で、どうもペラペラめくるとアンチ近藤思想が滲んでいて面白く感じた。どうでもいいがわたしは近藤アンチでも支持でも政敵でもファンでもなく、収納に関しては思想的に処女である。その年まで処女ってなんだよ? って感じだけれど、収納について真剣に命がけで考えたことはないので、そうなんだと思う。わたしの収納習熟度は、「カラーボックスを買って入れておく」に近いレベル、すなわち「一人暮らし始めたばっかレベル」からあまり進歩していない。
買って読んだら実際参考になった。書いてある通り真似して食器棚の位置を変えたら、とんでもなくやりやすい台所になったし。うちはダンナも料理だけはやるから(それ以外の家事はやろうとしない)狭い台所にふたりが立つとぶつかり合ってイライラだったのだけど、6畳弱のダイニングキッチンでも工夫次第でやれるんもんだと思った。今見たら辰巳氏のオフィブログがあるようで、家事塾~家事は生きることそのものだ~と、わたしが22年前に男女機会雇用均等法とかの時代をものともせずに到達した境地と同じことが書いてあって気が合うわこのひと、うんうん、そうだよねと、共感しきりで、わたしも「誰かがやらねば生存すらできない家事なのだから、見かけ上被支配者になろうともやるべきことはやるべき」と人生観を果敢に塗り替えた日々を思い出したりした。
とかいって最近は、「やっぱ家事はやりたくない」とゴロンとしていることが多いのであんまりではあるが。汗。
子どもが小さいうちだからこそ、この方のように立派に振舞えるのであって、大きくなると本性が出てしまうものなのだねぇぇ。(あたしだけ?)
他にも買った本があって、「北欧のあたたかい部屋づくり」という写真メインの、垢抜けて快適そうなインテリアがいっぱいの本。北欧風ってどんなのだ、と特徴を挙げるとこの本を見る限りでは、
1:大胆な色使い
2:家具は木。というか木目がたくさん
3:なぜか布を額仕立てにして壁に飾る
などがあり、イギリス風とかに比べると重苦しさのない明るい木目、明るい光源、といったところだろうか。
しかしいざ真似しようとプランを練り出すと、布や家具やその配置以前に、建物自体の構造や建材からして北欧風なのに気づいた。たとえば壁が斜めだったり、天井までフローリング(板張り)だったり。これじゃ真似できない。構造的に無理だーー。ムチャをいうなーー
うーーん。うーーん。
やっぱ難しいな、インテリアは。
しかし、抑えがたい欲求がまだまだわいていて、インテリア関連のウンチクや写真がたくさん載った本を読みたくて仕方がなくなっていた。ちなみに、先ほどの辰巳渚氏は非常にタメになるウンチクがたくさん書いてあったのでオススメだ。あと、ここまでの段階で、「All About」のインテリア関連の記事はほぼ全部目を通し終わっているのは言うまでもない。「All About」の場合、帯に短し襷に長し的な記事が多いので、ココとリンクしづらいのであるが、ちょっとはタメになった。
そんなで、「家とか暮らし全般についてのウンチク、もしくは写真の本、ないかな」と思って自分の本棚をあさっていたら、なんと、上の後ろの方に『快適生活研究』という、まさに求めている文字列そのものといった感じのタイトルの本をみつけた。この本、研究とかいってもムック本ではなくれっきとした小説本で、著者は金井美恵子というかなり有名な方。もっとも、わたしの場合、有名ってことだけは知っているという程度で、この本もタイトルに惹かれて買ったはいいけど積読状態だった。金井氏の小説に大きな特徴があるとすれば、センテンスが果てもなく長い、ということで、これはよくブログでも真似をしている人がいなくもないけれど、ぜんぶ「けれど」「けれど」「けれど」と「けれど」とつないでいることが多くて、その場合結局全部前の文章を否定している印象になるし、クドクドとした言い訳を聞かされているような文章になるので読み苦しいからやめてほしいと思うことが多いのだけれど、まさかそんなことも言えないので黙っていることになるのだけれど、さすがに金井氏は本当の作家だから、どんなに長い文章だからって、「けれど」はそこそこ程度にしか使っていないからサスガだなと思う。何にしろ、読むとかぶれて自然と真似しているのが金井美恵子風なのだけど、あまり素人は真似しない方がいいよなあと思うのは、特にブログの読者は普段からあまり本を読まないのが多いから、短くぶった切った文しか受け付けない上に、最近はマイクロソフトのパワーポイントの影響で、ナンバーを振った箇条書きでないと頭に入らないのが多いらしいって話しなのだ。
でその『快適生活研究』、ペラとめくってすぐに気づいたのは、小説の章と章の間に写真が豊富に使われていること。
写真といっても人物写真とか風景写真とかではなく、著者の妹か姉と思われる方の「アート」作品の写真で、そのアートも、油絵とか日本画とか彫刻ではなく、スジャータの空き容器とかお菓子の箱にかかっていたリボンとか編物の残りの毛糸とか生活していて発生した捨てるにはもったいない意匠を凝らした商品のラベル、とかを組み合わせた、なんというのか、ポイと捨てるにはプラだから分別しなきゃな、みたいな躊躇をうむ、生活上の摩擦というか躓きというか、あるいは場合によっては楽しみというか、そう言ったものがオリジナルの絵みたいなものとコラボされたモノで、中には、自作と思われる毛糸の織物なんかもあったりするけど、それが上手とか下手とかよりも、そして毛糸で作品(セーターやマフラー)として何を作るかという目的よりも、何より「編む」行為自体の欲望、という言い方はソレっぽすぎて気恥ずかしいけど、そういうのが感じられるような、ほとんど「雑貨」にも近いアートで、見ていてわたしの中の浮かれきった消費熱というか、インテリア熱というか、ぶっちゃけ物欲というかを、ススススーーとミスト状に変えてしまうような、そんな効果を幸か不幸か発揮してしまったのだった。
かといってソレは霧散して消えたわけではなく残ってはいるので、消費はするだろうけど。
あとはこの小説をいつどの場所で読もうかなぁってことだと思う。
そう思っていると、ついついそれ用に作ったノートに
◎本を読むところ コーヒーを飲みながら ソファ あかり コーヒーテーブル
なんてメモっていて、かなりの重症だ。
☆参考:『快適生活研究』の読売書評
こういう話なのか。けっこうインテリアにもかぶっている内容のようだ。
☆参考:著者に会いたい 快適生活研究 金井美恵子さん [掲載]2006年11月26日 [文・写真]河合真帆
「消費」にもかぶっているようだ。「たかが」の範囲とはいえ