今こそ新聞社について考えよう的な話題
昨夜仕事から帰って、ビールを飲みながらザッピングしていると、『官僚たちの夏』という映画だかドラマが始まった。
これには吹いた。こういう時期にそんなにも官僚を持ち上げたいのか、テレビ局は??
そうなのかテレビ局は!!??
『官僚たちの夏』がどんな話だか知らないから一概に言えないけど、素直に想像すれば官僚をヒロイックに描いたもの、でしょう。批評精神をもって描いたもの、と考えるよりは。
なんだかなーあーあ、いやんなっちゃう。
と思いつつも、それ見ようじゃないのよ、そんなに見せたいならさ。
見ますよ見ますよハイハイハイ
と、ビール缶をふりふり残量を確認しながら思っていると、マイダーリングのテルテルが横から
「あ、それ面白くないから見ないほうがいいよ。その堺雅人よくないんだよなー、佐藤浩市の引き立て役でさ。堺なら『クライマーズ・ハイ』がぜんぜんいいって!!」
とか言い出した。
マイダーリングのテルテルがふざけた邦画ファンなのは、過去記事『しんぼる』等でもお披露目しているところであるが、あれよあれよとDVDがセットされてしまい、その何とかってやつを見ることになった。わたしの場合「堺雅人」さんの名前を聞くのも顔を見るのも初めてであった。
めったに夫に逆らわない従順な妻である当方は、別にいいのでそのままビール缶をふりふり「やっぱ500ml缶一本は少ないよね」とか「クレヨンしんちゃんどうなったのか知らない?」と同時多発的にいろいろ喋りながら見ていると、それがなんと、新聞社の話だったのである。
多少酔いがまわっていたので半分くらいしか理解できなかったが、話の概要はこうだ。
時は1985年
北関東新聞という地方新聞社で働くユウキ(堤真一)
北関東新聞社は通称キタカンといい、所在は群馬。
群馬県は、過去に浅間山荘事件(※)、大久保清事件がおきた場所であり、ふたつまとめて「おおくぼれんせき」という。キタカンはおおくぼれんせきによって大きくなった新聞社であり、その時に中央の新聞社(朝日、毎日、読売)との競争、自社記者同士間の競争と、多くの伝説をうみ今だ語り継がれ、同時に今だに根にもって喧嘩の種になっている。
その群馬にまたまた大事件がおきた。
厳密には、起きたというのとも違い、たまたまその飛行機がある山に落ちたのであるが、落ちた山がどこなのか、群馬県内の山なのかそれとも他県の山なのかそこが分かれ目だ。山の名は御巣鷹山。けれど今ウィキペディアで見たら、そもそも「御巣鷹山に墜落」からして誤報道だったようで、ほんとうは「高天原山(たかまがはらやま)に属する尾根」に墜落していたのだ。
報道ってのは、困ったもんである。同ウィキペディアによれば、報道で「御巣鷹山」があまりに浸透してしまったため、かの地はのちに「御巣鷹の尾根」と命名されたそうだ。
作中にはそのことは出ていなかったと思うが、ともかく群馬県内であることに変わりはない。
キタカンは、全力をかけ、また地元紙のプライドもかけ、どこまでもこの事件の報道に執念をもやしていくのだが…
といったところで、最大の見所は、編集会議における、おのおのの人間性を際立たせての激しい会話劇と、「発生」に時間的に最大限近い凄惨な現場を目撃&レポートしたにも関わらず、社の都合でボツにされた新聞記者の心理劇…
あと本来的には、スクープを山登りに見立てたあたりの演出がメインなんだけども、ちょっとそこらは分かりづらかった。でもって、「隔壁破壊が事故原因」というスクープ(独自取材による他社に先駆けたとびきりのネタ。知って誰もがびっくりするようなやつ)は他社にもっていかれるのだが、その判断は、間違ってなかった、というあたりがツボなので、決して華やかなおちではないのであるが。
現在は、当時と違って、携帯電話やGPSなどテクノロジーの進化や、社会構造の変化があるため、今もこれと同じかは不明であるが見ごたえはあるのでお勧めだ。
そうして、新聞社の多大なる労をねぎらいつつ、新時代について考えようではないか!!