子どもの貧困、解決への第一歩は?その2
東京新聞の2.5面記事「こちら特報部」は、大手新聞の中で唯一「マスコミに渡った官房機密費」を取り上げた栄誉で一躍?有名になった特集記事欄だけど、本日も、社会問題の本質を突いた記事をupしているので紹介
見出しを抽出すると
「母子家庭への救済遠く」
「貧困ビジネス 官が助長」在宅IT体験者「生活できぬ」
「250億円ばらまき? 在宅就業支援事業の怪」
とのことで、このブログでも前回取上げたように、政府は母子家庭への支援を「児童扶養手当中心から自立支援へ」転換し、「お金を支給するかわりに自立させる」事業を2002年から展開し始めたわけであるが、これはそのひとつ「在宅就業支援事業」の現実について報告している。
それによると、「在宅就業支援」はIT関連の技能を身に付けてもらい、ブログ作成(業務A=わりと高度な内容、ムリなダブルワークを予防するとの名目)、文書入力などの単純作業(業務B=単純であるが子どもの将来の教育費捻出まで視野にはいったもので、長期的な仕事にありつけると見込んだもの)があり、A、Bともに一日三時間の基礎訓練(六ヶ月)を経て、技術を磨くコースに入り一年間訓練する、という。
一応ここらだけ見れば、厚生労働省の言い分と計算があるのは分かる。しかし、実際にこの事業に着手した自治体は15自治体のみで、予算額でわずか53億円にすぎないという。なぜ自治体が名乗りを上げないかというと、AにしろBにしろ「在宅仕事を開拓」せねばならないからで、国のイメージの通りにやると、訓練段階から仕事をあてがわなくてはならない。これが自治体にとって、現実離れしている。
さらには、何とかITワークを始めた場合でも、各種入力作業の実質時給は300円台だという!!
(在宅個人ITワークは「個人事業主」という扱いであるため、労働基準法の範囲外になる。そのため最低賃金も保証されない)
そんなであるから睡眠時間を削って必死に頑張っても、収入は月5万円だというのだから、絶句するしかない。
しかし厚労省の「母子家庭等自立支援室」の担当氏は強気一点張りで、「事業が理解され浸透してくればまだまだ手をあげる自治体はある」という。さらには、在宅だけで生活できないことについては
「それだけで生活してもらおうという趣旨ではない。
ダブルワークのうち、ひとつでも在宅にし、子どもといる時間を増やしてもらえれば…」
との主旨であると説明しているという。
当方、この一行読んでカッとなって罵詈雑言が頭の中を駆け巡ったのだけど、怒りまくってても官僚のお兄さんやオジサマに理解されるわけもないから、務めて平静に言うと、
外で仕事をしてきて、それだけで生活できないから、疲れた体に鞭打って入力仕事をして、その間子どもは駄々をこねてむずがって、「抱っこー」とか「お腹すいたー」と泣き喚いて騒いで、在宅仕事の邪魔をドンドンしてきて(最初の仕事の間は子どもはガマンしたのだからムリもない)、いくら言い聞かせても静かにしなくて、ITどころじゃない。ほんとうに、どうしたらいいのだろう、とどんどんどんどんどんどんどんどんイライラしたり焦ったり追い詰められてくる…
という状況で、何が、子どもと一緒に過ごす時間でしょうか?
おそらくは、厚労省の皆様はきっとそういう事が分からないのだと思う。
いくら公務員試験にうかるほど賢くても、そういうことまでは想像もつかないのだろう。(ということでこっちは冷静になるしかない)
(記事最後は、IT教育請負会社にカネが実りもなく渡っているだけ、という税金の無駄遣いを指摘している)
世にもおそろしい、女子ども虐めである。
が、虐めではなくきっと無知なのだ。
脇コラムには、「ひとり親家庭貧困率54.3%」とのことで、OECDの中で最低水準であるとの説明も付いた。
このようなデータが無意識に働きかけるものは、ひとり親になると大変すぎるということで、そのことが未婚の母になることや離婚への抑止力になっている。
が、それ以前に抑止しているのは出産と結婚ではないだろうか。離婚してひとり親になるリスクを100%背負わない結婚というのは、昔ならともかく現代では考えられない。
母と子についてもっと真剣に考えてほしいものだ。