わたしのGW

ゴールデンウィーク中のマイブームは掃除だった。
前回大掃除をしたのは、カレンダーの丸印によると4月17日(今年の)なのでそれほど経っていないが、あの時はおもに台所と玄関と廊下だった。
今度のGW中は、押入れのある部屋と、テレビのある部屋だ。
押し入れのある部屋からは大量のゴミが出た。壊れたミシンや、埃まみれのクリスマスツリー。今となってはぜったいに着ないと断言できるが去年あたりは決めかねていた衣類。それとビデオテープがものすごく多くて、子供の字で「ティガ」とか「ダイナ」とか「sw2」とか書いてある。書いてあるならマシで、なんとも書いてないのも多い。

ちなみに、『ウルトラマンティガ』の放映は1996年9月7日~1997年8月30日なのでちょうど10年前。tが9才の時なんだなぁと、しばし感傷にひたる。

もう見返すこともないから捨てようと思うのに、なかなか決断がつかない。

ウルトラマンティガの特徴

超古代の文明を守っていた光の巨人の一人。かつて
闇の巨人になったこともあったが、ユザレの優しさに
触れ再び光の巨人になる。それから長い間石像と
なって眠っていたが、超古代戦士の光の遺伝子を
継ぐダイゴが光となって石像に乗り移り復活。必要に
応じて体のタイプを変える能力を有する。最後の
決戦で一度光を失い石像に戻ってしまったが、人類の
光を受けてグリッターティガとして復活、邪神ガタノ
ゾーアを粉砕し、人類を滅びの運命から守った。
その2年後、かつて闇の巨人だった頃の仲間たち
と戦う。更にその数十年後、ダイゴの息子ツバサが
過去の世界で変身したが、光の意志が弱く完全な
ティガにはなれなかった。実はその古代世界の
村に住む少年アムイが真に光を継ぐ者だった。
長きに渡り人類を守った光の巨人ティガに声援を
送りたい。

(引用元はこちら
最終回、石像になってしまったティガが、ティガを救おうと集まってきた子供たちを見て「これが…ひかりなんだ」と発見する、あの涙ちょちょぎれの感動シーンの記憶は、いまだ褪せていないが、こういう後日談があったのは知らなかった。いったいどういう裏メッセージをはらんでいるんだろう? と深読みさせるのも怪獣シリーズの面白さで。

ウルトラシリーズ中、十年以上ぶりに再開のティガは、それまでと違って、悪の所在を外側ではなく人間自身の内部に問いかけてもいたので、子供向けにしては内省的だった。なんといっても子供は、正義が悪者をやっつける構図が大好きで、ボコボコにするアクションシーンで燃えまくるのだ。その点、少し戸惑っていたtの顔を思い出す。

そんなような感慨の中、やはり今回も捨てるに捨てられず、掃除中にできた空きスペースに仕舞い込んでしまった。

その次の掃除がテレビのある部屋で、これがまた洗濯したはいいがタンスに仕舞わないままの衣類の山。あと、増える一方の本。あと、昨年度までの書類やプリントや教科書やノートやドリルやなんやらかんやら。
うんざりしていたら、突然パタと、マイブーム掃除が去ってしまった。
掃除の途中でやる気なくなると悲惨だ。
ゴミの中で不貞寝した。
しかし、片付かない理由が収納棚の不足だと気づいて、近所のホームセンターに買いに行った。ちゃりだからすごい重くて、帰ってから死んだ。ほんとに気分悪くなってこのまま死ぬのかな…くらい思った。その間、子供たちが見るに見かねて組み立ててくれたので、助かった。

そんなで、かなりスッキリしたのだが、その棚の中に本を仕舞っていて、自分が買った覚えのない本をみつけた。
全体に赤と黒で、大きな目の子供の顔が描いてある、かなり分厚いハードカバーだ。
帯が付いていて、「都市のまどろみは怪物を育む。みんなが云う。悪いのはトレチア。殺したのはトレチア。」

さらに小さく「欲望と邪意をみつめる熱く暗い傑作」
さらに裏には登場人物がきっかり4人紹介されている。

  • 楳原崇   うしろ暗い少年期を隠した学生。
  • 佐久間七与   ニュータウンを撮り続ける女。
  • 蠣崎旺児   夜ごとダウンジングする漫画家。
  • 新宅晟   難病とともに生きる邪悪なこども。

こんな本が知らない間に降ってわいているのがこわい。
本を裏返したり、もどしたりする間、本をカバーしている透明なセロファンがシャラシャラ音をたてた。

どうにも気味が悪くて、部屋の外、廊下に出した。

夜が明ければ幽霊は消えてしまうように、さっきネットで調べたら『少年トレチア』が、amazonでもbk1でも紀伊国屋でも売っている一冊の本にすぎないのだと、分かった。

夜中に邪悪な意思を毒ガスのように発散し、息を止めるわけではないのだ。
調べなくても分かりそうなものだが、夜の暗闇の中では幽霊は幽霊なのだ。

掃除の仕上げとして残ったのは、tがぶっ壊した机を粗大ゴミとして引き取ってもらうことなので、早々に引き取り依頼の電話をしようと、思う

 

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