失われた20年を考察する。元経済財政担当相のインタビュー
2015年8月16日
2002年から2008年まで政府の経済政策の中心にいた大田弘子・元経済財政担当相のインタビューを表にしてみた。
なんで表にするのかというと、その方が分かりやすいからだ。
このような立場の人の話は、親身に聞くような性格のものではないし、開陳する内容も、言えることだけを言い、伏せたい情報は伏せ、自身に都合の悪い話しもしてないはずだ。だからその分は差し引きつつも、この人の立場だからこそ言ってることがソースになると考えた。
といっても、最後の方はダラダラ長くなってしまって表にした意味が薄くなった。
ここで5回もでてくる「サービス産業」という言葉にひっかかったからだ。
さっき調べたらなぜ、日本のサービス業はもうからないのか サービス業の高収益化に向けて官民がなすべきこと|DOL特別レポートSPECIAL|ダイヤモンド・オンラインというのがヒットした。2013年のだから古いのは古いが、経産省が考える「サービス産業」が海外の人への「おもてなし」と、あとは地方のうまいものや珍しい物を活用することのようだった。
なんか他にもありそうな気がするけど・・・・
疑問・設問 |
大田氏アンサー |
思ったこと(たいしたこと思ってない汗) |
格差が広がった理由は何か? | ■そう言う人は多いが小泉構造改革のせいではない ※小泉内閣=2001年4月~2006年9月 ■その根拠:1997年から急速に非正規が増えている ■グローバル化する中で97年のアジア経済危機以降、製造業が国内に多くの雇用を抱えていくことができなくなり、雇用構造の変化、産業構造の変化を受け止めきれなくなったから |
参照:アジア通貨危機とは|金融経済用語集 |
小泉内閣のやったことは何か? | ■政府による再分配で経済を支えるのをやめた ■補足:世界経済の構造が変わったら国内の経済構造を変えない限り成長はできない。労働市場の改革が必要だし、高齢化の進展に伴い税と社会保障の改革も必要だった。日本ではバブル後の景気悪化を公共事業などで支えてきたが、それで支えられるはずがない。グローバル化で製造業の海外移転が進むなか、地域経済をどうするかを考えなければならなかった。そこで公共事業を減らし、再分配を減らした。(そのことへの批判が強く、新しい経済構造はどうあるべきかの議論がすすまず、再分配の復活を望む声が大きかった) |
・・・・・ |
日本の長期停滞の主因は何か? | ■90年前後に世界経済も日本経済も大きな転換点を迎えた ■ベルリンの壁が崩れて冷戦戦構造が終わり、ソ連が崩壊し、東西ドイツが統一され、同じころEU(欧州連合)が生まれた。 ■アジアではインドが経済危機に直面して経済体制を開放し、中国は(改革・開放政策の加速を指示した)92年のトウ小平氏の「南巡講話」を機に開放政策が本格化 ■ブリックス(BRICs)と言われる新興国のうち経済的に大きいIとCができる。 ■90年代後半からアメリカはIT革命で生産性を上げ、再び世界経済をリードし始め、90年代にはグローバル経済が劇的に変わっていった ■日本国内では高齢化が急速に進んだ ■日本は89年に株価が最高値を付けてバブルのピークにあり、91年にバブルが崩壊した後、不良債権処理に10年もかかった。そのため世界の変化を受け止めきれなかった。 |
グローバル化、つうのがね・・・ |
構造改革の必要性についてどのような認識をもっているか? | ■供給サイドの改革こそ重要 ■世界経済の仕組みが変わったら、それに合わせて国内も仕組みを新たな形に変えていかない限り成長はできない。 |
「供給サイド」とわ? |
第一次安倍内閣時代をどう評価するか? | ■雇用・労働格差、賃金の格差が拡大。労働市場の改革と併せてグローバル化の中で新たに成長する道を探そうとした。 ■製造業が海外に移っていく中で、地域経済が低迷した。そのため、国内に残るサービス産業の生産性を上げることが重要課題だった。 ■戦後の日本型雇用のもとでは、景気の調整はパートタイマーでやってきた ■パートタイマーの多くは専業主婦だったので、時間的な柔軟さのほうが重要で、待遇が悪いことは軽視されてきた。それを同一賃金同一労働もしくは均衡処遇やらなきゃいけなかった。 ■サービス産業が増えるとは働き方が多様化すると言うこと。それに合った働き方を作るために、サービス産業の生産性向上と職業訓練のための「ジョブカード」(職業訓練の機会に恵まれなかったフリーターらを対象にした支援)創設、最低賃金引き上げの三つを「底上げ戦略」としてセットでやった。■成長と分配を両立するためには労働市場を変え働き方も変えなければならない。サービス産業を強くする。供給側の改革が不可欠。 |
「サービス産業」が具体的に何を意味するか? |
雇用問題での取り組みは?(安倍政権時代) | ■(アジア)経済危機で職を失った人たちをどう次の職場に移すかを考え、結果的に転職してよかったというふうにしないといけない。一度非正規になっても転職して正規になれる、転職自体は怖くないというふうにしたかった。これはどの国でも、政権を挙げてやらなければならないくらい大変なこと。規制改革だけでなく職業訓練の増加、女性の雇用拡大など全体的なプランでやりたかった。(あの時は諮問会議自体がたたかれできる状態ではなかった) | 「やれなかった」ということですね |
働き方も含め、供給側を改革して生産性を高めていこうという課題はどうなったか? | ■潜在成長率を上げるためには、特にサービス産業の生産性を上げ、少なくなった労働力を生かすために成長分野に移動できる労働市場にする。 ■転職による不利益を最小限にして成長分野に移動できるようにする ■新卒時に正規社員になれない若者、子育てのために一度辞めた女性、定年退職した高齢者、こうした人たちをもっと大切に使っていく。正規社員として企業内にいる人だけが守られるんじゃなくて、男女の壁、正規・非正規の壁、年齢の壁を低くしないと、人材は生かされない。 ■供給側の改革がいよいよ必要 ■そのため、アベノミクスの成長戦略「第三の矢」も難しい局面に来た。」 ■今度の成長戦略にも、問題は需要不足から供給制約になったと書いてあるが、供給に働きかけるということは、第一に、阻害要因の除去に取り組まねばならないので反対が強い。第二に、実現するまで時間がかかる。しかし長期政権だからこそやらなきゃいけないこと。 |
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日本では、外部労働市場が機能していないので、長期雇用が崩れるなら新しく社会保障などで支える部分が必要になるが? | ■今、安倍政権は、「失業なき労働移動」と言っている。政権が「労働移動」という言葉を使うのは大きな変化。規制改革会議でも、失業なき労働移動のための仕組みをつくろうとしているが、マスコミにはたたかれる。なかなか、転職して不利にならない社会、成長分野に移れる社会というのはできない。−−できるという現実感がないのではないでしょうか。
現状では、声を出せない労働者は泣き寝入りせざるを得ません。私は今、雇用は国民問題だと思います。単に労と使じゃなくて、その枠から漏れている人が雇用に関して問題を抱えてしまっている。多くの非正規の人がいますし、これから働きたいと思っているお母さんたち、これから社会に出る若者がいます。雇用国民会議とか、そういう場で正面から議論するときだと思います。 |
「労働移動」が何か調べたら労働移動支援助成金(再就職支援奨励金) |厚生労働省
再就職支援、ということか? |