幸せですか?

 ある夜中、わたしはやることがなくて暇だったので、あてもなくさすらう旅人のように色々な検索エンジンを使い比べていた。普段もっとも使わないのはmsnサーチだけれど、人によってはよく使うようだ。わたしも試しに使ってみた。キーワードは思いつくまま(たまたま、ほんとうに思いつくまま)「幸せですか?」と入れてみた。検索結果のトップページはあえて飛ばして(よくも悪くもトップは陳腐になりがちだから)、2ページ目に行って、タイトルもそのままのそのblogを知った。今ブックマークのプロパティを見ると、登録日は今年の2月12日になっている。

 病気らしい男子高校生が恋愛詩を書いていて、胸打たれた。ほとんど隅から隅まで目を通し、詳しく書いていないので病名などはわからないながら、長く闘病していることや家族を早くに亡くしていること、愛する女性と交換するように書いていることなどを把握した。男子高校生が使っている言葉は、病気もののフィクションをたくさん見聞きした者にとって(それはほとんどの日本人がそうだ)、これといった目新しさはなかった。疑えば、手のこんだ作り話しかもしれなかった。それでも、以後、時々訪れるblogになった。

 blogには、会いたいこと、今度会える日のこと、笑顔であること、幸せであること、そういうことが沢山書いてあった。日記は本人が書いているものだから第三者が解説している部分はない。全体像をつかもうとすると、欠けている部分がありすぎて、まるで片目で読んでいるようだ。そんなもどかしさの中、さっき読んだものが「最後」の日記だという。

俺の物語はここで終わります…/(中略)/短い間でしたが、今まで閲覧してくださった方々に/深く御礼申し上げます。(中略)

最後に一つみなさんに「幸せですか?」

 それが真実であるならば真実であることを証明する必要はない。証明する必要のなさが、小説などと違うところなのかもしれない。(なんというパラドックス?!)
 そんな風に、次の作品を待てるわけではない「ファン」になっていた。

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