博士の愛した数式

博士の愛した数式

博士の愛した数式

これ、どうしてだか、涙が次から次へとあふれて出っぱなしになった。

しかしどうしてだろう? その理由が自分でもよく分らない。
やっぱ年だからか? とか日頃のストレスのせいか? とか更年期か? とか考えた。
他の人の感想を見たら、やはり涙が出ているようだ。
でも、だからといってメソメソ湿っぽい話しではないのだ。

逆に、博士とわたしと息子の三人でタイガース戦を見に行くところとか、散髪の帰りに公園で博士が地面に数式を書いていくところとか、その途中で口をはさんで「28」に関する発見を「わたし」が言うところとか、いったん博士のうちを解雇されて、税理士の家で働き(家政婦仕事)ながら、冷蔵庫の製造番号を素数かどうか確かめずにいられないところなどなど、本来のストーリーから逸脱しそうなほど生き生きと生気がみなぎって、読んでいてわくわくと小躍りしたくなるくらいなのだ。

だけど、数学の楽しさって、そうだったんだって思った。もっともっと数学って拷問みたいに人を苦しめるものかと思っていた。素数とか完全数とか友愛数とか、面白い。そしてそれが「永遠」とか「真実」に通じていることがうれしいし、そういう言葉がふんだんに出てきてくれたこと自体が、何だかうれしい。

とにもかくにも、2以外の素数には2種類あることと、算数の問題は声に出して読むことと、その理由を、ちょうどルートと同じ11才であるうちの息子に教えてやろう。

なんだかワケのわからないものに、たくさんたくさん胸が満たされる本。

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