空中庭園 / 角田光代(携帯で読み中)
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/07/08
- メディア: 文庫
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もはやBOOKと言えるのか分からない。
なにせ携帯のあのチッコイ液晶画面でちまちま読んでいるのだから。
ただでダウンロードできるそれ用ビューワは、縦書き横書き好きな表示を選べ、わたしは迷わず縦を選んだ。
わたしの感触としては、縦書きでありさえすれば、紙の本であろうが液晶画面だろうが大差ないように思う。
若い人はそうでもないと思うけれど、わたしの場合横だと理解にいたるまでにすごく時間がかかる。横は情報のキャッチには向いていても、「読む」のは不向きに思えてならない。
『空中庭園』。この本がまた、携帯で読むことにとても向いている。
ある家族があって、父、母、姉、弟だ。今まだ「30%」(ページ数の変わりに%が出る)しか読んでいないので、姉と父だけだが、会話がいかにも携帯メールで使っているふうな「タカピョン。えーーうそーー」で、違和感がない。
会話文だけではなく、小説の意図とかたくらみとか狙いといったようなものを、ほとんどまったく勘ぐらせず、まさに普段携帯に向かった時の気持ちそのままで読んでいける。これが、紙の本だったら、それらを感じたのかもしれないし、感じないとしたら逆に稚拙に受け取れたのではないかと、心配になる。
そして、携帯がいつでも始まりもなく終わりもないように、この小説もそうだろうと思える。いつパタンと閉じてもいいし、そのままもう二度と読まなくていいし、また読んでもいい。普通の書籍の本もそれはそうなのだが、手に持った瞬間にその分量がどれくらいあるのかは分かってしまうし、始まりと終わりはどうしたってある。
わたしは今『空中庭園』を携帯の電子ブックで読んでいてとても面白い。まだまだ先が70%もあることがうれしいくらいだから。同じテキストが、紙の書籍だったらどうだったろう。面白いのだろうかどうだろう、ぜんぜん分からない。
価格:398円(くらい)