3121 / プリンス

3121

3121

プリンスの前作、『ミュージコロジー』は評判がよかったのに未聴だ。
なんせ、最後に聴いたプリンスのCDがDiamonds and Pearls/ダイヤモンズ・アンド・パールズ(1991)で、いつの間にか15年もたってしまったのだ。
わたしの話は20年たった30年たったという話が主流で困ってしまう。そんでもこちらはまだ15年なのだから、比較的最近だ。
知っている最後の方のプリンスは、結婚をし子供も生まれた、ということだった。確かPVにもその女性が登場していた記憶がある。プリンスの音楽はそのような愛と幸福を求める音楽だった(と思う)から、彼は求めるものを得られたのだ。
それに、その時のプリンスはほんとうに幸せそうに見えた。

それがだいたいDiamonds and Pearlsの頃の話で。
なんだか見届けたような気持ちで、それきりになった。

最近になって『ミュージコロジー』よさそうだから聴こうかな? と思っていたら、『3121』という新譜が出たとあちこちで読んだ。『3121』は、評判のよかった前作とはまた感触の違う、熱気のこもる評判の良さで、聴きたくてたまらなくなった。
15年間聴いてこなかった裏切りの街角だけど、いいよね、儲けにつながるんだから。と思いつつ、購入。

一曲目「3121」はうねうねした不気味な低音ではじまり、聴き続けられるか不安になった。けど、まったく大丈夫。うわさのとおり往年に戻った(わたしは中間を知らないのでそのまま「つづき」という感じの)プリンスが、あの頃よりやや渋くなって、声などはまったく衰えず健在だ。
付いていた日本語の解説によると、この15年の間、名前を変えたり戻したりし、レコード会社を変えた以外に、プリンスには離婚や両親の相次ぐ死去という試練があったと。
なるほど、ブックレットには豪華なダブルベッド、豪華な部屋、豪華なソファーセット、豪華なビリヤード台、豪華な食堂と、ゴージャス趣味全開の割には人の不在が感じられ寂しい。
求めてやっと得た愛する者たちが去って行った、ツワモノたちが夢の跡とでもいうか。
けど、それだってもOKじゃないか。

どうせ死ぬ時はひとりなのだ。

Diamonds and Pearlsもよかったが、Graffiti Bridge/グラフィティ・ブリッジ(1990)のつづきのように聴けるが嬉しい。Graffiti Bridgeのように啼かせGraffiti Bridgeのようにカッコよく、Graffiti Bridgeより大人っぽいのに同じくらい熱い。

そうだそうだ。きっとあの広すぎる豪華なベッドにわたしも招待されているのだ。

新解釈。

 

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