SIGHT vol.30(現在発売中)

特集記事「君は読んだか! 自民・憲法改正案の本音」

参考:fujisan

この雑誌は毎号、編集長の渋谷陽一氏の「巻頭言」が入ることになっていて、今回はこういうことが書いてあった。

憲法論議が変である。だいたい護憲と改憲という対立構造が変だ。憲法は変えていい。それは憲法自身に書いてある。(略)
ところが、今は「改憲」イコール「自民案」であり、「護憲」イコール「9条保持」ということになっている。そこで議論が混乱してしまう。それで「時代にあった憲法がいいよね」という素朴な国民感情による改憲支持が、そのまま自民党案支持のようにすりかえられてしまう。(後略)

素朴かどうかはともかく、これは、まったくその通りだと思う。
「憲法は変えてもいい、むしろ変わった方がいい」とは、今の憲法を通読したら、多くの人が思うことだと思う。けれどそれは、イコール自民案の支持ではないということは、最初にハッキリさせたい。

だから巻頭言においては、いい事言っている、なのだ。

ただ、巻頭言以降の本文がその大事なテーマに沿っていない。本文は即座に平和憲法の大事さ、9条を守ることの意義、といった数人の識者へのインタビューに終始してしまう。いやそうじゃないだろう。雑誌のこの流れで今必要なのは、9条の大事さを訴えることではなく、また、9条を変えようとする考えへ反論することでもなく、すり替えられている構図をより鮮明にして解きほぐすことだ。それと、憲法は9条ばかりではなく、他にも地方のことや国会のことや個人の自由や権利のことなど、たくさんあるので、変えるならどう変える、変えないならどう変えないという、全体の見取り図を作っていくことではないだろうか。

また、この特集を見る限りにおいては、雑誌SIGHT自体の考えも9条を守る、のように見えるが、それは(わたしの見落としでないなら。少なくとも目立つところにはないので)明文化されているわけではない。つまり、次の号になったら9条を変えようとする意見のインタビューが載るのかもしれない。そう考えたらなかなかこの号を素直に読みすすむことはできないのだ。といっても、違う考えを載せてはいけないということではなく、両者の考えを公平に載せて、読者に最終的な判断を託すのなら託すという編集方針が見えていないと、読みすすみにくいと思う。

SIGHTは、渋谷氏の俺の考えはこうだと、代弁してくれる人に言わせる雑誌なのか、読者に判断材料を提供する雑誌なのか、どっちなのか分らないのはわたしが、「リベラル」という言葉の意味をよく知らないせいかもしれないし、ロックイコール反戦と誰もが思っているに違いないという先入観(甘えともいう)を持つ、渋谷氏のせいかもしれない。

と、いうことで☆次号に期待したい☆

 

bluegreen
  • bluegreen