選挙運動の期間中について。勉強したこと

ザ・ファーム 法律事務所

4/1のきっこのブログを見たら、らしくない殊勝な「お詫び」なぞがあって、ギョッとした。(4月バカとはいえ)
なんでも、都知事選挙立候補者であるところの○原さんを批判する記事を書いたら、「今は選挙期間中なので、特定候補者についての記事は、どんな内容であっても公選法に触れるおそれがあるので、削除した方が無難だと思いますよ」というメールを頂戴したというのだ。

ふーーん、随分面白くないルールもあったものだねぇ。しかし自分もいつかそんな親切メールをもらわないとも限らないので、ちょっと調べてみた。

■「選挙運動の期間」っていつからいつまで?
法庫 > 公職選挙法(公選法) > 第13章 選挙運動

第13章 選挙運動
(選挙運動の期間)
第129条 選挙運動は、各選挙につき、それぞれ第86条(公職の候補者の立候補の届出等)第1項から第3項まで若しくは第8項の規定による候補者の届出、第86条の2(名簿による立候補の届出等)第1項の規定による衆議院名簿の届出、第86条の3(名簿による立候補の届出等)第1項の規定による参議院名簿の届出(同条第2項において準用する第86条の2第9項前段の規定による届出に係る候補者については、当該届出)又は第86条の4(公職の候補者の立候補の届出等)第1項、第2項、第5項、第6項若しくは第8項の規定による公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。

さすが法律、ごちゃごちゃ書いてあるが、ともかく「選挙運動は(略)規定による公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。」とのこと。では届け出はいつ行うのか?

第9章 公職の候補者(同「法庫」より)

(衆議院議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙における候補者の立候補の届出等)
第86条の4 公職の候補者(衆議院議員又は参議院比例代表選出議員の候補者を除く。以下この条において同じ。)となろうとする者は、当該選挙の期日の公示又は告示があつた日に、郵便等によることなく、文書でその旨を当該選挙長に届け出なければならない。

同じ選挙でも、衆議院や参議院の選挙と、それ以外の地方自治体の選挙ではいろいろと違いがある。上記はそれ以外についてで、「選挙の期日の公示又は告示があつた日」に届ける、とある。
ではその公示はいつ行うと定められているのか。これに関しては、法庫でも他でもとうとう突き止めることができなかった。
各県のを全体的に見たところ、投票日の1週間前あたりが多いようである。
ちなみに今回の都知事選では、東京都選挙管理委員会が「東京都知事選挙の告示日を迎えるに当たって(東京都選挙管理委員会委員長コメント)」というページを作っている。「4月8日(日)を投票日とする東京都知事選挙が、3月22日(木)に告示されます」とのことで、公示日から投票日の前日までの期間は17日間であり、その間が「選挙運動の期間中」となる。
なんだか随分と長い「選挙運動の期間中」だ。17日間もブロガーさんらはおとなしくしていなくてはならないってことで、こんなの我慢できない。

■選挙運動の期間中にやってはいけないことって?

これの規定は第13章 選挙運動にあり、「気勢を張る行為の禁止」とか、ポスターのサイズの規定とか棒大針小にこまごま書いてある。(それを言うなら、選挙期間でもないのに政党ポスターを町中にべたべた貼るのを、禁止してくれないだろうか。)

(文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限)

第146条 何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第142条(文書図画の頒布)又は第143条(文書図画の掲示)の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。
2 前項の規定の適用については、選挙運動の期間中、公職の候補者の氏名、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者の推薦届出者その他選挙運動に従事する者若しくは公職の候補者と同一戸籍内に在る者の氏名を表示した年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これに類似する挨拶状を当該公職の候補者の選挙区(選挙区がないときはその区域)内に頒布し又は掲示する行為は、第142条又は第143条の禁止を免れる行為とみなす。

ここが、該当する個所かと思われる。「何人も」とあるので、立候補者に限らずみんな、という意味だ。ただし、その下を見ると、意外な規定もあった。(※)

(新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由)
第148条 この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第138条の3(人気投票の公表の禁止)の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。
2 新聞紙又は雑誌の販売を業とする者は、前項に規定する新聞紙又は雑誌を、通常の方法(選挙運動の期間中及び選挙の当日において、定期購読者以外の者に対して頒布する新聞紙又は雑誌については、有償でする場合に限る。)で頒布し又は都道府県の選挙管理委員会の指定する場所に掲示することができる。
3 前2項の規定の適用について新聞紙又は雑誌とは、選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り、次に掲げるものをいう。ただし、点字新聞紙については、第1号ロの規定(同号ハ及び第2号中第1号ロに係る部分を含む。)は、適用しない。
1.次の条件を具備する新聞紙又は雑誌
イ 新聞紙にあつては毎月3回以上、雑誌にあつては毎月1回以上、号を逐つて定期に有償頒布するものであること。
ロ 第3種郵便物の承認のあるものであること。
ハ 当該選挙の選挙期日の公示又は告示の日前1年(時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙にあつては、6月)以来、イ及びロに該当し、引き続き発行するものであること。
2.前号に該当する新聞紙又は雑誌を発行する者が発行する新聞紙又は雑誌で同号イ及びロの条件を具備するもの

「人気投票の結果を公表」するのではない限り、新聞や雑誌の場合は、選挙運動の期間中及び選挙の当日であっても、報道および評論の自由は保証されている模様。
これはゆくゆくは、新聞や雑誌(第3種郵便物の承認のあるもの)に限定されずに、ネットユーザーなどにも拡大されるべきだろう。新聞や雑誌だけを特権的な扱いにしていては、ダメだ。

わたしは、公選法に関することなど意識したことがなかったが、それは今まで、候補者についての考えを示す場所などなかったから、知っても仕方のない法律だったからだ。
これからは、知るべき法律は知り、変えるべき法律は変わってほしいと思う。

以上、お勉強でした。

※立候補者自身は、別枠だよね…

4/20追記
後日の日記にも書いたとおり、以上の制限を受けるのは、立候補者(と関係者)だけのようです。ただし、立候補者に関しても、こういう制限は悪法であるとの記述も多数見かけました

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