マルホランド・ドライブ


マルホランド ドライブ [ポスター]

 マルホランドドライブ(Mulholland Dr.)とはLAに本当にある道路で、ハリウッドの街を一望できる道路だそう。と、いうことを今さっき検索で知った。この映画に関して、それ以上の予備知識は必要なかろうも、けどそれくらいのことは知って置いた方が、知らないで見るより感銘が深かったかもしれない。とはいっても、やはりそれ以上のことは知らない方がいいので、これからこの映画を見る予定の人は、何も知ろうとしない方がいい。あと、まだ見ていなくてこれから見る予定もないって人は、予定に入れた方がいい。

 わたしも随分以前に予定に入れて、やっと数日前に見れて、それから時々マルホランドドライブを思い出している。たとえば冒頭の夜のシーン、車のヘッドライトが前方の道を照らす、あのシーンは孤独だなぁとかである。孤独と簡単に一言でいっても色々なタイプの孤独があるわけだが、ああ示す孤独は、誰にも知られず死んで誰にも探されないまま腐敗して骨になっていく、そんなような孤独である。というかそういう映像がそのものズバリあとで出てくるのだから、わたしのイメージ力はベタすぎだろうか。
 それでも、あとで出てくるそのものズバリの孤独よりも、車のヘッドライトが照らすわずかの視野である前方の道、センターライン、ひた走る暗い車自身、周囲の木々のかたまりが、痛いような、否グロテスクなほどの、けもののような…と形容したいそれなのである。

 他に思い出すことは沢山あり、主演女優ナオミ・ワッツとナオミ・ワッツが演じたベティ*などだ。マルホランドドライブのナオミ・ワッツは女優オブ女優オブ女優、もしくはキングオブ女優だった。ナオミ・ワッツがあのように演じられないなら失敗している映画であろうから、ナオミ・ワッツの双肩にかかった責任はさぞや大きかったろう。特に好きなシーンはオーディションで、相手役の男優の70年代ノリ(とても古臭くて笑える)を蹴散らすような名演を見せるシーンと、ストレートな愛の告白をするシーン。
 だけれどもやはり総合的にいってびっくりしたなーもう、という映画なので、本当にびっくりした。マジカルでトリッキーでアイデアにみちみちたメタフィクションな映画ともいえるかもしれないので、どこまで本当に悲しい余韻にひたっていいのか不明なところがあるけれど、幸福な道筋をたどらない愛情とはなんて悲しいのだろうか。思い返して感心するのは、「主演女優を選ぶ権利のない映画監督」というアイデアで、これはある人物の妄想でもある。監督の、凡庸かつ俗物ぶり、そして今にも殺されそうで殺されないあぶなかったしいところ、そして妙に落ち着き払ったところ、さらに力がなくてマッチョでないところ、そして彼の母親が、面白かった。

 なんでも、デイヴィッド・リンチの最新作は、ローラ・ダーン主演の『Inland Empire』(インランド・エンパイア)というもので、今年日本公開されたばかり、しかもまた!女優の話だそうだ。これはまだ全国の一部で上映している模様だ。

『Inland Empire』(インランド・エンパイア)全国上映館一覧

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