DAYBREAK’S BELL


DAYBREAK’S BELL

 アニメのオープニングということもあるし、前回ハマリ過ぎてしまったがゆえの酩酊気分も残っていたため、正直あまり期待しないで聴いた。と思ったら、ちょっと古臭いような、昭和の香りすら漂うギターのイントロから始まって、やたらとスピード感溢れるドラムがダダンときて、それとは裏腹に妙にゆったりしたメロディとで、なんというか、またまた船酔いのようになった。一番驚いたのはボーカルが普通の歌い方をしていたことで、力の入り方や感情の込め方が従来は過剰ぎみかつ自傷傾向の場合が多かったのに、普通のボーカリストに近い歌い方をしていたので、この方の声の美点が素直に現れていた。また、非常に早いスピードで歌うため、鬱々たる歌詞ながら、重さに耐え駆け抜けている。今回はうまくガンダムオタクのリーダーの嗜好と、作詞者の書きたい(歌いたい)歌詞内容が合致したと思われる。かなり強めの言葉が選ばれている。アニメとシンクロさせた歌詞ながら、アニメ自体が現実の戦争である現在進行中の「終わりなき対テロ戦争」に着想を得ている様子だから、当然だろうか。さてそんな歌詞であるが、必ずしも曲の中心には位置していない。ではどこにいるかというとやや左側の上の方。ドラムは真中の上、ハワイアンミュージックのようなギターが時々右手から、普段のギターは左の下。では中央には? と耳を澄ますと地味ながらもハデにベースがびんびんと…。疾走感はあるけれど決して鼓舞してくることはないこの音の配置に、踊ったり浮かれたりはせず、じっと耳を傾ける、そんな聴き方になった。

 夏の憂鬱:とうとうここまで壊れちゃったかと感心すると同時になんか可笑しくて笑ってしまった。それとこの歌の英語のタイトルがThe Sea in Bloodだったの知らなかった。だとしたら、DAYBREAK’S BELLの歌詞ともつながっているわけで、これはジャケットのイラストレーションに描かれたDNAラセンが海から浮かび上がっているのともつながっていて、殺しあうことが遺伝子的に決定されていることなのかどうか? という問いとつながっている。
 たぶん、配偶子を生成するときのあの不思議な細胞分裂の仕方=減数分裂をすべての脊椎動物が行うことを考えたら、セックスすることは遺伝子的に相当に決まっていると思われるが、殺しあう理由は分らない。といっても、現在の人口の増え方を見ると人類という種の遺伝子全体にとっては、ちょっとやそっと殺しあうことはダメージになっていない。ということは、わたしの命もあなたの命も相当に軽いものになる。だからこそ、そんなのはイヤだそんなのはイヤだそんなのはイヤだと、強い意志をもっていたいし、人が殺されることに関しても同様に思っていたい。