『父親を超えられない社会』。逆に言えば、父親の時代が特殊だった?
父親を超えられない社会(武蔵野大学,杏林大学兼任講師 舞田敏彦) | ガジェット通信
本日のガ通信の政経面に、興味深い記事が転載されていた。
舞田敏彦さんのブログ『データえっせい』から父親を超えられない社会だ。
今回は舞田敏彦さんのブログ『データえっせい』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/1189545をごらんください。
父親を超えられない社会(武蔵野大学,杏林大学兼任講師 舞田敏彦)
「国勢社会調査プログラム」(ISSP)という組織が毎年、特定の主題を据えて国際意識調査をしているのですが、2009年の「社会的不平等」第4回調査と2012年の「家族とジェンダー」第4回調査のローデータを入手しました。『ISSP』
http://www.issp.org/index.php
転載の転載だからややこしい体裁になってしまうが、本家の父親を超えられない社会を見れば、それが一番分かりやすい。
興味ある設問が満載で、どこから分析しようかと迷うのですが、私はQ11の設問に興味を持ちました。「今の(最後にしていた)仕事の地位レベルは、14~16歳の頃の父と比べてどうか?」という問いです。仕事に就いている者、もしくは仕事に就いたことがある者に尋ねています。
今の日本のように、発展の山を越えてしまった社会では、「子は親を超えることはできない」とよく言われます。それは本当か?他国ではどうか? 私は、自分の世代(30代男性)の回答を集計してみました。下の図は、主要7か国の帯グラフです。
日本の特異性が際立っています。今の仕事の地位レベルが父よりも低いと考えているのは、他の6か国では2割ほどですが、日本では6割にも達しています。
正直、日本の結果はこうだろうな、という予測はしていました。われわれはロスジェネでもありますし。しかし、他国はそうでないことに驚いています。日本の対象者は、お決まりの「謙虚」な回答をしたのでしょうか。それを差し引いても、この図の模様には唖然とします。
ISSP「社会的不平等」第4回調査の対象は41か国ですが、これら全体の中でみたらどうでしょう。高い(はるかに高い+高い)と、低い(低い+はるかに低い)の回答比率をとってみました。朝日新聞流に、中抜きのグラフにしてみましょう。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/2015/10/d03.jpg
ほとんどの国で、青色のバーが緑色より長くなっています。子が父を超えている社会が多い中、その逆の社会は3国だけです(日本、フィンランド、トルコ)。しかし、対象者の6割が「父よりも低い」と答えているのは、まぎれもなくわが国だけ。
ほんとうに、クッキリハッキリとした明快な結果。
思えば、うちのダンナッチだって、Tの年にはもうTが生まれてたんだもんなぁ。
もちろん、それで、我が子に葉っぱをかけて、自分の自慢をするほど愚かなダンナッチではないけど(第一、それができたのは、わたしが積極的だったからで・・・・って、そういう生々しい話しはやめようw)
そういう事情もあるから、『西東京市白光団地の最凶じいちゃん・イワオ74』さんに怒られるようなことはしてない。
とはいえ、つまり、理由は何なんだ?
こうまで、ハッキリとした結果が出た理由は。
一面のアンサーとしては、あの時代が特殊だった、ともいえるかもしれない。
やたらと好景気に走り続けていた理由は、この前失われた20年を研究するに書いた、藤井裕久・元財務相の言ったことを参照するなら、ひたすら欧米に追いつこうと頑張っていた。
そういう頑張るエンジンがあった。
日本が経済のことだけ考えて邁進していた同じ時代、他の国は経済以外のこともやっていたと、考えられる。
・・・・それにしても、ずいぶんと極端に揺れ戻すし、父親世代と比べて不公平だ。
しかし、『西東京市白光団地の最凶じいちゃん・イワオ74』さんに言われるまでもなく、むしろ、今までが一種の異常事態だったかもしれないので、さほど悲観しないでもいいのかな・・・・・
そうこうしている間に、今度はTPPだ、グローバル化だ、ネオリベラルだと、エンジンどころか頭からガソリンをかけられんばかりの、イヤな予感も・・・・
まあ半分は、まだ元気な60代、70代、80代の方々ががんばってくれるとして。
その間、若年層な人達は、力を蓄え、自分のやるべきことは何なのかを見極めてほしい。