夢野久作の「森の神」、なにかを連想するミニミニ小説

森の神

森の神様が砂原を旅する人々のために木や竹を生やして真青に繁りました。その真ん中に 清い泉を湧かして渇いた人々に飲ましてやりました。すると大勢の人がやって来て木の下へ家を立て並べて森の周りに柵をして、中へ休みに入る人からお金を取りました。水を飲む人からは、その上に又お金を取りました。

森の神様はこんな意地の悪い人々を憎んで、森を枯らして泉を涸らしてしまいました。

旅人からお金を取った人々は大層困って 「何という意地の悪い神様だろう」と森の神様を怨みました。
森の神様は言いました。

「私はお前たちのためにこの森をこしらえたのではない。旅人のためにこしらえたのだ」

昔の創作と思えないリアリティ

投稿者 annaka21