ああ、日本は国がヤクザだったのか!?…問題(『ヴィンチェンツォ』に寄せて)

NetFlixの韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』 が面白くてたまらない。

どういう話しなのかちょっと説明すると、主人公ヴィンチェンツォは韓国人なのけど、幼少時に母親と生き別れになってイタリア人に引き取られマフィアの弁護士になった。マフィアのボスから実の息子以上にかわいがられ信頼されるほどの実力者に。けれど、ボスが死んだのをきっかけに韓国に戻ってきた。

韓国の「グムガプラザ」というボロい雑居ビルに重要な用事があったからだ。

ところがこの用事がなかなかすすまず、グムガプラザの住人たちと否が応でも関わっていくようになる。ビルには、イタリア料理店、ピアノ教室、クリーニング屋、食堂、寺などがあり、個性豊かな住人達が細々と生計を立てている。さらに、弁護士事務所「藁」もここに居を構えていた。

マフィアの抗争で自らの手も汚しているヴィンチェンツォが市井の人々との交流など望むはずもないのであるが、あれこれあって弱者を苦しめる巨悪を成敗していくことになるという話しだ。

ヴィンチェンツォが美しい顔をして毎回全員やっつけちゃうのと、そのやっつけ方がかっこいいのが一番の見所。他にも、ヴィンチェンツォの相棒となる女性弁護士ホン・チャヨンの存在感もお見事だ。日本の女優だと見かけないタイプの演技が光る。不条理な状況下でひねくれ、見下し、開き直る様子を表情や体全体の動きで表現。加えて言うと、女性弁護士が他にも一人出てきて、名前はチェ・ミョンヒ。彼女はいっけんダンス好きのただのオバチャン。ところが、とんでもないダークサイドに堕ちきった悪徳弁護士。正直、もっと本当にオバチャンでも良かったんだがけっこう美しいのが玉に瑕だ。

このドラマ、女性弁護士同士の火花を散らす会話劇も見所。

他にも、ヴィンチェンツォのマフィア人生をにじませたセリフ「ここがイタリアならお前は一番安い葡萄畑の肥料にされてる」(大意)などもシャレオツでシビれる。

あと2回1回で配信が終わってしまうので大事に見ようと思っている。

ところで本題。
『ヴィンチェンツォ』の第二話で、ホン・チャヨンがヴィンチェンツォに向かって、えっ!! と絶句する台詞を放った。

「あんたはイタリアでマフィアだったろうけど、韓国じゃ全部がマフィアなの!!」

・・・・・・??!?!!!

これにはびっくりしたねえ。
というか、カミナリに打たれたような啓示を受けた。

マフィアは裏世界の存在なので法律など軽視する。都合の悪い相手は叩きつぶすかこっそり葬る。マフィアにとって大事なのは自分のファミリーなのでファミリーを守るために何でもやる。表の世界では決して許されることではない。ところが、韓国では国そのものがマフィアだというのだ。「国」を細かく言うなら、政治家、大企業、大資本家、役人、法律関係者、警察官僚、マスメディアなど社会の中心かつトップの連中、ということになるだろう。

ひょっとしてこれ、日本にも当てはまるんじゃない?
いやさ、そう思ってこそ腑に落ちる。
日本だから、マフィアというかヤクザ。

たとえば学術会議問題。
【独自】「首相の違法行為」学術会議任命拒否に抗議し辞任 東大名誉教授が文化庁の会議座長を:東京新聞 TOKYO Web

上記記事によれば「特定秘密保護法や安保関連法に異を唱えてきた6人を意図して排除した」
「官邸は、法を犯してでも人事に介入」した。

法を犯してって・・・・ヤクザのやることだ。

考えてみれば日本では「ほんと、ヤクザだな」と思えることが多い。

ちなみに、本当のヤクザ(暴力団員、極道)は、なりたくてなるわけではなく、家庭要因、教育要因、交遊要因によって最初は「グレた」若者だったものが暴力団加入ルートに接触することで起きる、といったことをヤクザになる理由 (新潮新書)で読んだ。
なので本記事では、こちらの本当のヤクザの方は「ヤクザ」と表記する。

一番典型だと思うのは、「選択的夫婦別姓」になにがなんでも反対する自民党保守の人たちだ。
あの人たちが守りたいのは、夫婦の絆とか、家族愛とかではない。
なぜなら、名字が同じだろうと、違おうと、愛情に変わりは無いからだ。
あの人たちが守りたいのは、ヤクザの「組」であり、ヤクザの親分であり、極道社会なのである。

さらに、いつまでたっても日本のジェンダーギャップがうまらないのはなぜなのか?
こういうヤツ↓↓↓↓

(↑茶々混じりの質の悪いコメントがやたらに付いているのはご愛敬として)
女性議員の割合、世界各国議会の女性議員割合は過去最多25.5% 日本は1割未満 | NHKニュースで見たら、今でも1割以下だという。日本の状況は、昭和21年とまったく同じなのだ。

これはどういう理由だろう? 本質的な男女観なり価値観が、極道の価値観に相似だからではなかろうか?
そう推理した当方はためしに『『極道の妻(おんな)たち』』を見てみた。

見たら、答えが出た。もーカンタンに出た。

「日本女性は極道の妻たれと刷り込まれているから」

が答えだったのだ!!

この映画、シリーズ化されてやたらにたくさんあるため、相当に人気作だったとわかる。主演女優も1人ではなく、岩下志麻の回もあれば、第二作目では十朱幸代がキャストされており、高島礼子の回もある。わたしは岩下志麻の第一回をじっくりと見た。

その第一回極妻の冒頭にこんなセリフがあるのである。

「極道の妻たち」に見る男女観
【場面】
酒場。「懲役やもめ会」が開かれている。どんちゃん騒ぎ。
「懲役やもめ会」は、刑務所に入っているヤクザ組員の妻達の集まり。
主催する粟津環は親分の妻。親分も服役中。もうすぐ出所する予定。

【人物】
「懲役やもめ会」を主催する粟津環(岩下志麻)
やもめ会の面々30人くらい
粟津環に声かけに来た堂本組の姐さん(藤間紫)

【会話】
姐さんが環に金を渡した後、女達に向かって

「女房の後押しがないと、男稼業はたっていかしやせん。せいぜいきばってくれやっしゃ」

女達
「はい」
全員お辞儀

これである。
今も夫のことを、「主人」といったり「旦那」というのは一般的であるが、まさかここから来ていたとは。
「女房の後押しがないと、男稼業は成り立たない」というのは、今もって頑固にはびこる発想と言って、過言ではないだろう。

そう考えると、

世界120位「女性がひどく差別される国・日本」で男より女の幸福感が高いというアイロニー

のような謎も解けるというものじゃないか。
だって日本じゃ男はヤクザ(の下っ端)なんだから、幸せなわけがない。
一方、女の方は2種類が考えられる。

1.ヤクザ(の下っ端)の夫を持っているが、自分は男稼業を支えているので、表だっては大変じゃないのでそれなりに幸せ
2.男稼業をささえる義務のない立場(独身など)なので幸せ

この統計、本来ならば、「男の幸福度が低かったら、そのパートナーである自分も不幸」のはずだ。あるいは
「女性の幸福度が高かったら、そのパートナーである自分の幸福度も上がる」ものじゃないだろうか。
そうなっていない時点で、この国の男女のすれ違いっぷりは看過できないレベルなのである。

例を挙げているとキリガないのでもう一つだけ。自民党議員による 「女性はいくらでも嘘をつける」発言。

昨年9月のことなので、記憶に新しい。

杉田水脈の言う「女性」とは、自分が属する極道の女のことだったのだ。杉田は極道の女しか女を知らない。極道の世界では嘘は重要な武器。極道の女が真っ正直なんてあり得ない。うまくやらないとヤク漬けにされたり売られたりひどい目にあう。嘘くらいナンボのものだ。

しかし、その価値観を、カタギの世界に持ち込むのはやめてくれって話しだ。

 

他にはどんな極道の妻(おんな)がいるだろう?

と思ったら、並べてくれている方がいた。↓↓↓↓

本物の「極道の妻」が見たら怒りそうなので先に謝ります。すみませんm(_ _)m

この国では女性が議員になろうとしたら極妻化しないと潰されるのだろう。(女性議員全部ではないにしろ)
それが予測が付くから誰も議員になろうと思えず、今だに8%程度の女性議員割合。

そういえば2月に投稿した拙記事ニッポンにおけるモロモロの「劣化」は女性が排除されているせいなのが判明した!!
あれに、日本オリンピック委員会(JOC)が議事を非公開にするのに反対した4人の女性について書いた。

あの女性達は、極道の妻になるのを拒否した、まっとうな人たちだ。

ちなみに今の日本オリンピック委員会(JOC)は、「女性理事4割」を森喜朗氏「文科省がうるさくいうんでね」というふざけた発言経由で、どうにか達成した様子。
(森さん、いかにも組長か親分のつもりなのが臭います)

しかし、上記の4人のうちJOCに残ったのは高橋さん1人だけ。

JOCの女性理事、40%と数だけは達成したが、極妻にならないでほしい。

カタギの人間としての責任を果たして、後悔がないようにやってほしい。

付記:
先ほど、ヴィンチェンツォの最新話(19話)を見たら、「韓国は国がマフィア」発言をフォローするセリフが入っていて「ドラマの脚本も大変だな」と思いました。

付記:
「ヤクザになる理由」に、2013年まで4年間の調査で、暴力団離脱者で就職できた人の割合は、1%にも満たないと書いてありました。
暴対法の問題点。