「20ミリシーベルト」撤回要求 対政府交渉-福島の子どもたちを守れ!
□110502『「20ミリシーベルト」撤回要求対政府交渉「文科省、原子力安全委員会との交渉」』(WEB Iwakami)
□「20ミリシーベルト」撤回要求 対政府交渉~福島の子どもたちを守れ!(投稿者: ourplanet )
(ふたつは同じだけど撮影角度が違う。上のは、質問される側の文科省と原子力安全委員会の顔がよく見える。下のourplanetは、質問者側も映っている)
この交渉の模様は、充実した内容だった。
交渉の相手として前にいるのは、文科省の4名(答えていたのはワタナベという人一人)、原子力安全委員会から二名(答えていたのは一人)で、この面々をいたずらに責め立てるのではなく、強い必然に裏打ちされた論理性と明晰さを失わずに、きちんと冷静に詰め寄っていた。
まず最初に53000名の署名渡しなどがあって、早くものらくらし始めた文科省相手に福島瑞穂が百戦錬磨の凄みを利かせて先制攻撃をくらわすと、文科省ワタナベも目が覚めたかのように、姿勢をイヤでも正さずにいられなくなったらしく、答えるモードになった。
その後、福島瑞穂は国会に行く用事でいなくなったけれども、交渉の形は作られていたため、そのままスムーズに冷静に時々怒号まじりで、おこなわれた。
重大な要求内容がいくつかあった。
ごく簡単に整理してみる
1:郡山市が自主的に校庭の土を除洗した。そうしたら、文科省大臣は「除洗なんかしなくていい」と言った。
どうしてそういう事を言うのか。
除洗しなくていいのか?
20ミリシーベルトのままでいいのか?
そういうことを言わないでくれ
文科省ワタナベの答え:現在のところ、除洗はしなくてもいい。20ミリシーベルトでいいと言っているわけではない。低くする努力はしなくてはいけない。しかし除洗はしなくていい。ちゃんとモニタリングしている。
【sukima解説】
文科省の役人の言うことには論理性がないため、ここに書き写しても読者に理解してもらえる自信はない。しかし頑張る。つまり、ワタナベ氏の言おうとしているらしきことは、「努力は必要だが除洗はしなくていい」と。そこからして理解不能であり、福島親サイドも戸惑っていたが「除洗しなくては、軽く20ミリシーベルトを超えてしまうのだから(この時点ではまだ内部被曝分は計算されていないが、校庭の土の線量だけでも)、除洗をする事がすなわち努力、そうでしょう?」と。それに対して文科省ワタナベは「除洗は必要ない」の一点張り。いったい何を考えているのかこの男は?
このやり取りが、最後の方でもまたひとしきり起きて、だんだんと「その土の運び場所に困る」というのが理由らしいと判然としてきた。しかし、なんと身勝手な理由だろうか。除洗の必要がない程度の安全な土なら、どうして運び場所に困るのだ??? ようやく文科省の腹の底が判然としてきたため、「その土は東京に運びます」もしくは「東電にお返しします」と誰かが言い、激しい拍手が起きた。
むろんそんなでスッキリするはずもない。東電なり東京なりに仕返しすることなど眼中にあるわけではない。文科省ワタナベがあんまり非道い事を言うから成り行きでそう言い返しただけだ。
願いはただ一つ、福島をなんとか少しでも安全にして子ども達を守り抜きたい。
それだけなのである。
なので、ここで生まれた要求
☆自治体が自主的に除洗しようとしているものを、「やる必要がない」とブレーキをかけないでくれ。それをやられると地元は大混乱をきたす。その土をどうするかは相談する。だから、どうか頼むから、ブレーキをかけないでくれ。
【sukima解説】
この交渉というか要求に非常に時間がかかった。交渉側は文科省に、「除洗してくれ」と頼んでいるわけではない。「自主的にやるから、その判断を行政が迷うようなことをどうか言わないでくれ」と頼んでいるだけなのに。福島の母代表も「本来なら、あなたたちが責任をもってやるべきことなんですよ!!!!」と言うの当然だ。この最低限の訴えに、YESなのかどうか、それとも次回に持ち越しになったのか、よく分らなかった。(が、交渉側は決して負けていなかった)
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要求2:年間20ミリシーベルトを「子ども達の健康に害がない」とみなすのを撤回して
文科省ワタナベの答え:もっと低くしなくてはならないと思っている、自然と低く、定期的にモニタリングしている。安全というよりも暫定、基準ではなく。20ミリは危険という事ではないと思っている・・・
【sukima解説】
20ミリは危険ではないと言ってみたり、低くしなければと言ってみたり。
下に参照サイト
<年間20ミリシーベルトは、3.8マイクロシーベルト/時であり、これは、労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」(0.6マイクロシーベルト/時以上)の約6倍に相当する線量を子どもに強要する。
年20ミリシーベルトは、原発労働者が白血病を発症し労働認定を受けている線量に匹敵する。また、ドイツの原発労働者に適用される最大線量に相当する。
さらにこの基準は、大人よりはるかに高い子どもの感受性を考慮にいれておらず、また、内部被曝を考慮していない。
現在、福島県によって県内の小・中学校等において実施された放射線モニタリングによれば、「放射線管理区域」(0.6マイクロシーベルト/時以上)に相当する学校が75%以上存在する。さらに「個別被ばく管理区域」(2.3マイクロシーベルト/時以上)に相当する学校が約20%も存在し、きわめて危険な状況にある。>
(フクロウの会)
(他にみつけたのは、計画的避難区域の放射線基準20mSvの根拠、ICRP(国際放射線防護委員会)とIAEAの国際基準。こちらの情報も参考になるかと)
その後、マイクが文科省から原子力安全委へ移った。
そして原子力安全委員会が、開口一番いきなり何を言出したかというと・・・・
「私どもは、20ミリシーベルトが安全だとは、一言も言っていません!!!!」
これには、会場の一同驚いた、というよりも、凍り付いた。
「い、いって・・・ない・・・??」
「はい、言ってません!!」
「それじゃあ、何シーベルトまで許容できるの?」
「それはまだ決まってません!!」
【sukima解説】
「安全と一言も言っていない」ということで「安全じゃない」といきなり宣告された。
「安全じゃない」場所に置かれたままの子ども達の姿が浮かんだ。
よく海外の戦場写真に、爆撃された子ども達が写っている。今、あれと同じことがこの国で起きているのだと思った。放射線の影響は、ごくかんまんに起きるから、写真という映像にならない。
写真にならないからといって、起きていないのではない。
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原子力安全委と文科省は対立関係にあるか、少なくとも連携はまるでうまくいっていない。
この件に関して原子力安全委の方が立場は上で文科省に「助言」する立場だが、文科省は極力無視したい様子。
「何のために月給もらっているんだよ!」
「引き続き、検討させていただきます」
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■内部被曝について
質問:内部被曝については
文科省ワタナベの答え:土のサンプリング、舞い上がったとして
質問:数値は?
同答え:2%
質問:何ベクレル吸いこんだとして考えている?
同答え:ベクレルは考えてませんが
質問:食品は?
同答え:食品は入ってません
【sukima解説】
内部被曝については、文科省は何も考えていない事がわかった。
文部科学省の役人のくせに、一般人レベルの知識も意識もないとは。
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内部被曝について
原子力の答え:砂ほこりの舞上がる量については推定しがたいので、実際に計る方が安全なので
質問者:もう福島県が計っている。1立方メートルあたり5000ベクレル
1キロ 15000ベクレル
原子力安全委の答え:・・・
【sukima解説】
ここらへん、まったく専門家とは思えない要領の悪さ。
本来、頭は悪くないはずなのに、何がこんなにも無能化させてしまうのか。
しかし、諦めるわけにはいかないのだ。
他、質問として、原子力安全委の、議事録のことやメンバーの名前など聞いていた。
(これはネットに出るであろう)
なかなかにらちがあかないのと、要領が悪い文科省と原子力安全委が相手なので文にするのが難しく、ここまでが限度である。
■上記以外で印象に残ったやり取りを、書き残す。
文科省発言:半減期もあり、モニタリングしてからナンタラカンタラ
福島親:モニタリングしてからじゃ実験じゃないですか?
福島親:それまで被曝するんだぞ!!
福島親:そんな悠長なことを言っていられないんです。一番放射線量の多かった15日、16日は、水もない、ガソリンもないで、子どもの手を引いて外にいたんです。外を歩いていたんです。もうすでにたくさん、被曝しているんです。