「事故収束」首相が宣言。
16日、わたしのタイムライン上に「野田首相が冷温停止宣言を明日おこなう」みたいなツイートが入り出した。
え〝そんなに簡単なことだっけ??と目が点になっていると、案の定、首相も細野豪志も口から出任せを言っているのが判明した。
とはいえわたしも「冷温停止」とは何か、あるいはどういう状態になったら「収束」と言えるのか、あらためてナゾに思ったので、この記事でそこらへんを追求していきたい。
参考にした資料
☆1:Former Fukushima Plant Worker – Press Conference (with translator)
☆2:福島原発事故の政府対応に関する緊急記者会見 主催:自由報道協会
☆3:NHK「冷温停止宣言」野田首相記者会見中継を打ち切られた部分
どれもありがたい事にツイッターで知ったものばかりである。
その他には、☆4:17日東京新聞
の二面は、原発で実際に作業する人の声として収束宣言への疑問を投げかけていたし、一面においても、
「事故収束」首相が宣言
と、事故収束という言葉にかぎかっこを付け、その横にも「冷温停止状態」とかぎかっこを付ける事で、「われわれの考えってわけじゃないですよ!!」とアピールしていたが、そんな細かな芸に注意をはらっているヒマはないので、東京新聞の方はわたしのソースとしてはどけておく。
☆1のYoutube
ジャーナリスト鈴木智彦氏が今年の夏に福島第一原発の作業現場に潜入し、中の現実を報告する内容。
氏は『ヤクザと原発』なる本も上梓している。潜入の目的は、ヤクザもしくは暴力団がどう原発に関わっているかの取材?であったようだ。わたしはジャーナリストと知らず、てっきりその筋の人かと思い、原発作業現場の様子を知らしめてくれるなんて随分立派なその筋の人だなぁ、それに理路整然と説明するのうまいその筋の人だなぁと感心して見ていた。→だんだん違うらしいと気づいた
そんな中印象的だった箇所をうろ覚えながら再現してみる。(確実な内容は、必ず実物視聴のこと!!)
という状況。
冷温停止のため、汚染水をつなぐ配管が必要だが、今配管に使っているのは寿命の短い、これからの時期凍結のおそれのある材料。
日本の全部の原子力発電所は不正の上に成り立っているんです
作業員の被曝の上に成り立っている。
たとえば1F(福島第一原発)では、線量計を付ける位置を、肩にしたり足にしたりして、より低く見せかけ、作業時間を長くしている。あるいは、線量計を裏にしたり表にすることでも、それができる。
これらは、東電からの指示ではありません。
しかし、東電から指示された予算と作業人員と作業内容をこなすためには、そうせざるを得ない。
東電は、何かあったら、「作業員が勝手にやった」と言い逃れるつもりです
ちなみに最初の時、「死んでもいい人間を集めてくれ」と各社に指示を出した。
ところが東電は状況がおちついた先月くらいから
**提出するように言ってきたわけです。
ですが、現場を離れ退職した人も多いし、そもそも3月にやるべき健康診断を今やっても意味はないのに、協力業者はそれを今やらされている。
下請け企業は 東電に「そんな事は出来ない」とはね付ければいいのに出来ない。
東電は、命令はしないですけれど、偽造に近い 私たちは指示していないと、彼らをクビにする
かといって絶望的かというとそうでもなくて、実をいえば日立および東芝などのメーカーはたくさんのアイデアをもっている。ところが政府および東電の状況発表で、「すでに1Fの事故は収束した、多くの日本人は危機は脱した」と思っているのを利用し、予算を莫大に削っている。
そのため、どんなアイデアを東電に持って行っても、それができない、という状況。
1Fの事故収束はまったくすすんでいない。これからが本番。」
かなり短くし途中も抜けてしまったが、生の現場で働いてきた人の証言だ。
配管。
これを適当な材料で作っていると。
さらに氏の説明によると、うまくつながらない配管と配管は、グイッと引っ張ってむりむりつなげているらしい。
きちんと金を出せば、そして、各メーカーが利害を超えて協力しあえば、解決の手立てはあるのに、政府と東電は、金が惜しいのか何か知らないが、みずからの勝手な理屈で、それができていない。
さらに作業員の被曝。
氏が時計型撮影機?を用い、007ばりに中の様子を隠し撮ってきた動画も公開された。これに、サーベイモニタで作業毎に測っている様子も映っているのだが、動かすの「早すぎ」と。
つまり、実際は測っていない。測っているというパフォーマンスだけを、毎回している。
☆Fukushima Daiichi Nuclear Power Station 12 November 2011
↑11月12日にジャーナリストが立ち入り禁止区域に入った時の写真群だ。
作業員の若い男子が映っている。顔色不良で沈鬱な目をしている。結婚指輪をしているから他に職もなく妻子を養うためにここへ来たのだろうか? 若者と言える人は、他の写真にも写っている。サーベイモニターで体を走査しているところの写真もある。きっとカメラマンの前ではしっかり調べている風に、ゆっくりやったのだろう。
☆2
2番はまだ、途中までしか見ていない。おしどりマコ氏の報告「事故直後の初期被曝の量も、何度質問しても、今だにわかっていない」というあたりまでは見たが…
それでも「収束などしていない」ことは確実に分かったので、こちらも少しだけ文字にしてみる。
Q:冷温停止と政府発表 これを言葉どおりに受け取って良いのか? 燃料棒がどこにあるのか、ヒントはあったか?
A:東電側が、「燃料棒は圧力容器から落ちて 今は格納容器の底にある」と言ったが、前者の厚みは16センチ、後者は3センチ。前者を突き抜けたものは後者を突き抜けると、考えられる。
もしも、そうやって格納容器からおちて地下にめりこんでいるなら、圧力容器よりも下にあるのだから、温度が低くなっても当然…
東電は、「格納容器にとどまっている」と言うがその根拠は、コンピューター解析による推測。楽観的推測でしかない。
上原先生や内外の専門家が言っているように、めりこんでいる、のが正しいのじゃないか? チャイナシンドローム、地下水脈に入っている(かもしれない)…
A:冷温停止について
11月22日いわき市で行われた中期的***で原子力工学の九州大学の工藤先生が
「熱をどこかにもっていって捨てている状態とはいいきれない、現在は注水冷却じゃないか?」と質問した。
対して保安員は「冷温停止ではなく、冷温停止状態だ」と答えた。
これは単なる言葉遊び
現在は、(冷温停止ではなく)注水冷却、という状態だそう。
本当は、熱を捨てる場所をヒートシンクという形で確保して、100度より低い状態を保たなくてはいけない。
Q:たしか以前は冷温停止という言葉は使っていなかった。3月の段階では安定冷却と東電は言っていたが?
A:僕の記憶でも、4月17日には、冷温停止よりも、かんすいをさせて、外に
燃料棒の崩壊熱が圧倒的に高くて、先に温度を下げるほうが大事となっていた。
5月17日に、一回目 かんすいをずっとするといっていたのを、「穴が開いているので水が溜まりません」となりじゃあどうしようかとなった時に、上から温泉掛け流しじゃないけど上からかけて、流れたのをどこかにひっぱろうと言い出した時から、冷温停止状態という言葉が出てきたような気がします…
定義はなんだ?とは何度も出ていた。
第一ステップが出て、そもそも冷温停止がなんだ? というと
きちんと原子炉が正常な状態で、外に放射性物質がもれない状態
100度以下になると、冷温停止とつけている。それくらいになると、ぼこぼこ沸騰しないので、定期点検の時にふたを開けても平気だな、という状況。
ところが現在は、ふたどころか、そこらじゅうからもれていて、何度になっているかも計れない。
しょうがないので、格納容器の底で測ってるけど、これをもって、中の温度が100度以下になっている、というのはどうなんだ?
放射性物質がもれていない、のが冷温停止なのであるが、今日の発表で6000万ベクレル毎時が出ていて、そんなで冷温停止といっていいのか?
A:
4月17日の時点でも、「冷温停止状態」という言葉だけは出ているが、その段階では水と気体を区別していない。今のように、みず(汚染水)を溜めるタンクをどこにするか決まってなくて、来年の夏には増設しても、溜めておく場所がなくなっているという状態であれば、そもそもの定義の冷温停止ではない。
今現在の定義でも、三つあって
1:100度以下
2:蒸気の発生がおさえられて放射性物質の気体での放出が抑制されている
3:循環注水冷却室の中期的安全が確保されていることが確認できたこと。これがやっぱ確認できていない
汚染水をためるタンクは循環冷却室の一環ですから
ステップ2の実現はできてない、というのははっきりしている。
◆ちなみにその「循環注水冷却室の中期的安全」について、経済産業省原子力安全・保安院は12日付けで、東京電力株式会社福島第一原子力発電所第1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に関する東京電力からの報告書(その1)の評価結果についてというpdfを出している。
この中で保安院は「東京電力から提出された報告書に対して、慎重に評価を実施し、<1>循環注水冷却システムに関連する設備は多重化等により信頼性が確保されていること、<2>異常が検知でき、設備の停止時には代替手段の確保されていること、<3>万が一の事故が発生しても、著しい放射線被ばくのリスクを与えないこと、を確認」したというだけど、この点はそう、上記鈴木氏の会見を見ても分かる通り、東電は、自分でそうと指図はしないけれど、膨大な誤魔化しを作業員に強いている。デタラメ、デタラメ、デタラメの連続。
さらに、ニコニコの会見で日隅氏が説明してくれた分だけでも、まずもって「汚染水の行き先がない」のだから、とうてい安定でも何でもないうえに、実際問題放射性物質は今も大量に出ているのだ…
なんて書いているあたりで朝になったので先ほど居間に降りてテレビなど付けたのだけど、そしてそれはたまたまテレ朝だったのだけど、野田首相の「収束」や「冷温停止」発言を取り上げていた。
思ったよりは良心的な内容で、政府発表を受け売りしてはいなかった、のは一安心としても、
「誰も収束なんて思ってないですよねーですよねーですよねーうんうん」みたいな事ばかり言っていて、説得力のある説明は皆無だった。
その点、このニコニコの会見の内容は中身が濃い、流石だと思った。
☆3:NHK「冷温停止宣言」野田首相記者会見中継を打ち切られた部分
これは、NHKがまたまたやってくれたよ、という事件。
民法ならまだしも、NHKは受信料とっている。
わたしもこのブログで「受信料払うのやめた」と威勢良く宣言した事があるけれど、今月集金に来ちゃったから1万円以上払った。
NHKだってネットを利用したり、ツイッターを利用している。
それなら、ネットユーザーの心理くらい多少は分かるだろう。
ネットを使っている人が信用しているのは、NHKでもマスコミでもなく、一個人が信念でやっている「非大手の」「非マスコミ」の「非組織の」「非既成」のジャーナリスト。
NHKはたまには信頼するけど、油断はできない。
ユーザーのニーズくらい把握したらどうなんだろう?
「わたしの1万円を返せっ」と言いたい。
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ところでそのカットされた質問「燃料がどうなっているのか分からないまま、今ここで収束宣言をするのか?」という大事なものだったのだけど、野田しゅしょうは、「圧力容器の底の温度だけではなくて、圧力容器全体の温度も測りながら 100度以下になっている(から収束)」みたいな、ほんとに情けない形だけの返答だった。
今回あれこれ調べた身の上として確信をもって言えるのは、無責任にもホドがあろうって返答だ。
ほんとうに、今は、それしか言葉がみつからない