わたくし率 イン 歯ー、または世界 / 川上未映子

わたくし率 イン 歯ー、または世界

わたくし率 イン 歯ー、または世界

 小説を読んでいてつまらなくなったときほど生きる希望が失せる感じのするものはないけれども、この小説はぜんぜん逆の感じを味あわせてくれた。ただ、ひょっとして二作目はないかも知れない気もするので、それを考えると今から残念でたまらなくなる。大阪弁、おおいに結構なので、これからも大阪弁でいいし、主人公が実は○○だったという一種のオチは、これはもう使えないだろうからやめるとして、あいだに挟まった書簡は、とても楽しんで読めた。この、この人だけが書けたという感じ、この唯一無二の歪み、どこを探しても他にはないこだわり、そういうのがスゴイので、続くといいなと思う。歯か。なるほど歯かぁ。She、Her、Herも連想するなぁ。
 二作目はないかもと思う理由のひとつは、作者はブログを持っていて熱心に更新している、というのがある。彼女の書くことへの熱情のおおかたはここで燃焼されてはいないかと、心配になるのだ。わたしは作家のブログは読まない。作品で勝負しろ、と思っているし。実際問題作家のブログはつまらないことがなぜか多い。だれそれとの交流、だれそれと開いたイベント、だれそれにプレゼントされたなにそれ、なんていう幸福めいた話は白けるだけである。ただ大島弓子を読めないで今まで生きてきたの部分だけは、精読はしていないけど、ああなるへそと思った。
 ホラね、こうやって、ブログの話題の方が長くなってしまうでしょう?だからいやなんだ。

 そうはいってもネットを丸きりやるなというのも、現代人として酷な話だ。うーん、よく分らない。と、いうことで、レビュウは第二作があれば書こうと思う。

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