四十日と四十夜のメルヘン
- 作者: 青木淳悟
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/02/26
- メディア: 単行本
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4月2日にこの本のフェイスだけは紹介していた。この時点で表題作は読み終わっていて、あまりの面白さにかなり興奮ぎみだった自分。すぐにも感想文を書きたかったのだがヘタに書いてネタバレになっても…とか思って書く気がなくなっていた。
つづいて「クレーターのほとりで」を読んで、様相は一変した。表題作とぜんぜんカンジが違っていたからだ。ぶっちゃけ「つまんないじゃん」と思った。しかし、気を取り直して二日三日後に読んだら面白くなっていた(漬け物か?)。けど、やっぱ後半は面白くなくて、まるで地歴か公民の教科書でも読んでる気分。そんでも頑張って読み通した。
もしここを読んでいるあなたが筋金入りブロガーさんなら、「四十日と四十夜のメルヘン」はそうでない人より面白く読めるかもしれない。というのも、「チラシ」の山に埋もれながら7月4日~7月7日までの日記を繰り返し書き直す姿はヒトゴトではないだろうからだ。書き直すたび真実は遠のいていき、出来事の価値は高くなったり低くなったりし、自意識はちぢに乱れ、単語や名詞のイメージは勝手に暴走し…。
読んでいる途中、作者のprofileが書いてあるカバーの折った内側が目に止まった。
1979年埼玉県生まれ。早稲田大学文学部在学中の2003年、「四十日と四十夜のメルヘン」で、第35回新潮社新人賞を受賞。埼玉県狭山市在住
一瞬、これも「四十日と四十夜のメルヘン」という小説の一部かと錯覚した。「1979年」「早稲田大学」「新潮社新人賞」「埼玉県狭山市」という、コード化可能なキーワード
1979年生まれというのは、賞を受賞した年齢や現在の年齢を計算させ、その年齢と自分のそれを比較させるし、「早稲田大学」にもさまざまなイメージが喚起されるし、「埼玉県狭山市」にいたっては、自分が埼○県に住んでいるせいか、「埼玉県狭山市在住とはどういう『水平移動』の結果なのだろう、早稲田大学まで埼玉県狭山市から通っていたのだろうか?」と詮索させる。
「四十日と四十夜のメルヘン」は下井草で一人暮らしをする人物の一人称で、わたしは作者に実際に一人暮らしをした経験を感じた。そうでないならスゴイ創作力だと思うが、そうだとすると、作者は一度は下井草あたりに住み、今現在は埼玉県狭山市在住ということになる。するとそれは親と同居なのだろうか、それとも結婚して自分の所帯をもってなのだろうか、まさかひとりで埼玉県狭山市に住むとは考えづらい…。等々。
これらは限りなくどうでもいいことだし、わたしの勝手なイメージなので、埼玉県狭山市に一人暮らしをする若者がいたっていいわけだし、だいたい埼玉県狭山市に失礼である。けれど「四十日と四十夜のメルヘン」からの流れでそんな思考がとめどもなく、行くあてもなく流れていく。