『栞と紙魚子 殺戮詩集』『栞と紙魚子 生首事件』by諸星大二郎

『栞と紙魚子 殺戮詩集』若い頃大ファンだった諸星大二郎。
フと思い出して検索してみたところ、まだまだ現役で、その後わたしの知らない本をたくさん出しているのを発見した。
その中で題名が特に蠱惑的で幻惑的な上記2点を購入し、先日読んだ。
おもしろかった。

諸星大二郎の描く怪物は諸星大二郎の頭の中から生まれたというより、諸星大二郎の漫画を描く腕の中から勝手にはえてしまったみたいで、この怪物いったいどういうツクリになっているんだ? と首を傾げる。
というより、ホントいうと首を傾げる以前に、ぐちゃぐちゃしているのを気味悪がったり気持ち悪がったりしている。

よくウルトラシリーズの怪獣でも、博物学じたてに図鑑ぽくなることがあるが、諸星大二郎の怪物は、構造もヘチマもなさそうなので、そういうのになりそうもない。
たぶん、なりたがってもいないと思う。(誰かやってたらスミマセン)

昔、PTAっぽい人たちが漫画を批判するとき、「漫画は最初から絵になっているから想像力が育たない」と言っていたが、諸星大二郎の漫画を読むとそんな考えが見当はずれもいいとこだと、分る。絵になっているからこそはからずも芽生えてしまう奇妙な想像力。
昔ほどの若々しい覇気にはちょっと欠けるが、ずっと側に置いておきたい本になった。

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