クワイエットルームにようこそ / 松尾スズキ

同じ日に、古本屋から少し離れた、高架下の本屋で買った本。
読み始めてしばらくして判明したのは、またまたせいしん科だ、ってことだった。
現代文明最後の秘境であるせいしん科に、表現の人が乗り込んでいくのは、ある意味当然? っていうか、作者そうとうにせいしん科を知っている。

閉鎖に5年半! きつ

とは言わないでしょう? 主人公のこの立場で。せいぜいK(病院の名前)に5年半! きつ くらいのもので。
かくいうわたしも、せいしん科で働いているっても、閉鎖に行ったことはなくて、開放に5年半! なんだけど。
作者はすごくサービス精神があるんだと思う。そして、何か書いてもこんなん誰が読むんじゃ! って考えてしまう人なんだと思う。一番小説的だった箇所は、主人公の元亭主がコップを逆さに口に咥えて取れなくなってしまうシーンで、漫画の絵柄とともに頭に浮かんでしまうとても漫画的なシーンでもある。その出来事をきっかけに主人公は堕胎してしまうのだけど、そこへいたる心の動きがあまりよく分からなくて、あと、男の血筋を断った、という発想もそれほどよくは分からなくて、そういう事って考えるかな? と思う。そりゃもちろん、いろんな人がいるから、考える人は考えるだろうけど…

まーしょせん40代のヤロウの書いた小説だから。けど、本気で主人公のとおり20代の女性作者にせいしん科経験書かれても、読むのかなりきつ だと思うので、これでいいのかもしれない。

何にしろ、もう少し登場人物とエピソードの数を減らしてくれないと、けったいな人となりのカタログになっていて、読む脳ではなくて、情報処理脳がピコピコ動くばかりなのが、自分でもよくわかった。そんなのつまらない。

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