アルケミスト / パウロ・コエーリョ

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)

パウロ・コエーリョという名前だけ知っている作家がいて、何か読んでみようと思っていた。amazonでみて、この本が旅の本であると知ったので、旅への慢性的な渇望を抱くわたしはこれを頼んだ。

内容(「BOOK」データベースより)
羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて少年はピラミッドを目指す。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」少年は、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行く。欧米をはじめ世界中でベストセラーとなった夢と勇気の物語。

読み出してしばらくして、金井美恵子がポール・オースターを評して「これは小説というより寓話なのだな」といった言葉を思い出した。ポール・オースターのファンだったわたしはケナシているとしか思えないこの言葉に、そのときショックを受けた。同時に一種の計測方法、反物商人がメジャーの使い方を知った、みたいな学習をしたような気がする。

その学習成果に沿っていうなら、『アルケミスト』は小説ではない。
それによく見たら、カバーの折り目のところに訳者は「スピリチュアル・ブック」と紹介している。つまり、実用書だ。
いや、だからといって『アルケミスト』を馬鹿にしたものではない。
心の中には、小説や評論だけでは満たすことのできない空腹部分がある。

だから人は宗教に走るんだと思う。そして、「スピリチュアル・ブック」で満たすのなら、変な宗教に入るのと違って、出たり入ったりは自由なのだ。だから、「スピリチュアル・ブック」の存在は大事だと思う。

さて、そうだとするなら、わたしの実現すべき運命って何なのだろう? という疑問が当然わく。
まさか、hatenaダイアリーでこうしてブツブツ書くことだろうか。
アルケミストは言う。「おまえの心のある場所に宝がある」と。

ここのところは、ちょっと、ドキリとした。

 

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