クラスター爆弾についていくつかの要点
2007年6月18日
前回からの続き
■クラスター爆弾とは? 特徴は?
- ひとつの爆弾の中に、何十から何百という子爆弾が入っている
- 戦闘機からの落下、もしくはミサイルから発射する
- 落下した地点で爆発する
- 不発率が高く、不発弾は実質的に対人地雷と化す
- 地雷よりも感度がよいため、上からの圧力がなくても側を通っただけで爆発する
- パラパラと広がって落下するため、強風等の影響を受けやすく、狙ってはいない民家などを攻撃しやすい
- 98パーセントが民間被害
- 現在も被害が発生しつづけている
■使われる理由(各国の国防当局の考え方)
- 「面を制圧できる」。飛行場の滑走路に使えば、武器輸送の車両をまとめて攻撃できる、戦闘機の離発着を防げる
■クラスター爆弾の埋まっている代表的な地域
- レバノン南部(イスラエルの近く)
- ベトナムと国境を接する、ラオスの北東部シェンクワン県
- セルビア、コソボ
■歴史と、最近特に注目されている理由
- 最初の使用は第二次世界大戦において、ドイツがイギリスに
- その後はベトナム戦争、湾岸戦争
- ごく最近は、2006年8月にイスラエルが大量にレバノンに投下
■最新の技術
- 不発率を1%まで下げた、とする新型
-
自己不活性化装置(タイマーがついていて、一定時間が経つと効果がなくなる、とする)の付いた新型。
昨年8月にレバノンで使われたのも、自己不活性化装置付きであったが、相当数が不発だった - 実験室で1%と出ても、雪面や樹上等、下が固くない場所に落下すると不発になることが多い。実験室の数字は当てにならない
■クラスター爆弾をめぐる世界各国の動き
- 非人道的な兵器を禁止することに関しては、もともと「CONVENTION ON CERTAIN CONVENTIONAL WEAPONS (CCW)(特定通常兵器使用禁止制限条約)」という機関?が存在していた。クラスター爆弾についても、話し合っていた。しかし、ロシア、アメリカ、中国という三大大国が賛同せず議論が進まなかった。CCWの参加国は100カ国以上あり、決定は「全会一致」が原則で、それゆえの限界が多い
- これに業を煮やしたノルウェー政府をはじめとした有志国が、2007年2月、ノルウェーのオスロで2008年までに条約制定を目指す「オスロ宣言」をまとめた。この集まりの特徴は、CCWのような既存の軍縮交渉の枠組みを外れ、CMC(クラスター爆弾連合)という、クラスター爆弾の使用停止などの趣旨に賛同する非政府組織(NGO)が結集して03年にできた連合体が、中心になっていること
- オスロ会議の参加国は、日本や英独仏など48カ国と、赤十字国際委員会(ICRC)や国連など6国際機関や非政府組織(NGO)である*1
- オスロ会議に賛同の署名をしたのは、日本、ポーランド、ルーマニア以外の国々
■これからのオスロプロセス(条約制定までの過程をもって、こう称するそう)日程
-
5月ペルー、リマ会議(2回目。終了)
12月ウィーン(3回目)
来年2月ニュージーランド(4回目)
5月か6月ダブリン(5回目)
■各国
■日本
■リンク
- mainichiのストップクラスター 詳細に経過を追っている。2007年1月の欄は、クラスター爆弾の埋まっている地域の解説。実際の被害の様子、証言
- CMC 上記NGOのサイト
*1:その後少しずつ増えている