慰安婦問題

いったんは下火になったかと思った同問題が、テレビを付けたらアメリカの議会が映っていて、再燃していることを知った。わたしはこのことは、ソッと静かに置いておいて、無闇にほじくりかえさないでほしいと願っている者で、軍が強制したかどうかなど、元慰安婦たちの味わったメチャクチャな苦痛と、「それ」を買って闇雲の性行為を行なわないでいられなかった死の恐怖と隣り合わせの兵士たちのグチャグチャの苦しみに比べたら、たいした問題ではないと思っている。

第一、強制でなかったことなど、どうやって証明するのか? 安倍晋三ら自称愛国者たちは、強制を明示した紙っぴらが存在していないという、その一点だけにすがりつき、そのことをもって「軍は強制していない」と言い張っているが、そんな恥さらしな紙など最初からないだろう? 仮にあったとしたってとっくに処分されていると考えるほうが、自然ではないだろうか? それとも、元慰安婦の人々が今も持っているはずだと言うのだろうか? 自らの過去をひた隠しにして生きた人々が、そんな忌まわしいものを? だいたい命令や強制に文書なんか別に必要ないと思う。情報考学じゃないが、コミュニケーションの90%以上が非言語で成り立っているのは、現在では学問領域の一区画として研究されているのではないだろうか。それを文書がないという理由で学問的に取り合えないというなら、そんな学問は死んでいる。

慰安婦決議 米議会の「誤解」の根元を絶て(6月28日付・読売社説)

ぜんぜん、何を言っているのか、分らない。
「全くの事実誤認に基づく決議である」って、戦争中のアジアに何万人もの兵士がいて、それぞれが別に聖人君子でも何でもなく、過度の緊張や恐怖や不安を味合わされ続けていて、慰安婦の数もすさまじく大勢いて、日に何百人もの相手をしていて、すなわち一日何百人もからアソコに突っ込まれていて、それだけの「事実」(この事実は誰も否定していないのだから)があったというきわめて数値換算的発想をもってしても、いかに非道極まりないかと想像され、つまり現代人の想像力で容易にまかない切れるとは言いがたい広大な事実が存在しただろうに、この記事を書いた人がいう「事実」って、どこをどう切り取っての事実だというのか。「軍の強制」と、「軍」「軍」言うけれど、その中身はひとりひとり、それぞれ名前をもった人間なのだ。自分の存在する組織を考えてほしい。上司(戦時なら上官)は、自分が罰されるようなリスクが生じない限り、組織からの命令をその場その場で自分に都合よく解釈して、自分の力でもない組織の力学を盾に取る。

具体的にいって、「軍の強制ではない」とは、軍の最高司令官の命令ではない、と言いたいのだろうか。ひょっとして、つまり、天皇は命令していない、と言いたいのだろうか? ぶっちゃけ、彼らがそれほど天皇思いにも見えないのだが。どこからどこを切り取って「軍」と言っているのか、そこをはっきりしてほしいものだ。

詳しい動機は不明ながら、ある一派の人たちは、歴史の教科書さえ体裁よく整っていればそれでいいらしい。
現場となったその時代のその場所に、現に生きた人々の肉体とせいしんが味わったものなど、どうとでも文字列として操作できると思っている。歴史教科書史上主義とでも言うのか、テキスト史上主義というか
そして自分らの名誉も、いくつのか文字(文書)によって護られると信じているらしいのだが、そんなものはいつでも書き換え可能な程度なものだ。
読売は他にも「日本政府は、将来に禍根を残さないよう、米側の誤解をときほぐし、当面、本会議での採択阻止に努めなければならない。」と当り障りのないことを言い、何をもってして「誤解」と言っているのか謎ながら、何であれ、その「誤解」を「解きほぐせ」ると考えているのだとしたら、読売のこの記者は、どうにもならないほど人間がわかっていないオオバカものだ。

多分、将来の職として新聞社かNHKを志向するあまり、NHK制作のドラマばかり見すぎたのだろう。NHKのドラマは、シナリオのスジはよく考えられているから、その時その時は納得して見るが、後には何も残らない。NHKがまるで想像もしないのが、理屈では愛憎をコントロールすることはできないこと、本当の理由は整合性のないパワーであること、などなど。NHKのドラマなぞを教科書にしていては、ダメ人間になるだけなので、せめてスターウォーズを見るべき(かも)だ。

アメリカの議会に言われたくない、という意見をhatenaダイアリ上に多く見た。
そんなの、言われたくないに決まっている。
けど、言われるような失態をしているのが安倍首相なのだ。

自分が支持しない安倍さんが右往左往する姿は、それなりの見ものだが、わたしにもわたしの「愛国心」があるので、主張してみた。

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