安倍晋三物語、最終話(であってくれ)

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参院選の直後は、安倍さんが永久に去っていく前に、その本性をすべて曝け出し、歴史を捏造してまで「美しい国」と言い出す人物が今後二度と現れないよう、言いたいことは全部言ってからいなくなってくれと思ったりした。なので気は進まなかったが、しばらくテレビに映る安倍さんをウォッチした。(普段は、安倍さんを見ているといたたまれない気分になるため、テレビニュースをあまり見ず。=オバカってこんなにヒサンなんだなとか思うとやり切れなくなる)
といっても、もともと安倍首相は参院選の前、「私と小沢氏、どちらが首相にふさわしいか、今度の参院選で決めてくれ」と言っていたらしいので、今まだ首相の座にしがみついていること自体ダメダメなわけだが、意外とこの一点をかばう人は多い。「参院選では政権選択しない」とか。なら、安倍さん本人がそれがわかっていないということか。

そうこうしているうちに安倍首相は何を思ったかインドくんだりまで行っていた。わたしが見たテレビはNHKで、「温暖化対策に協力を」という演説を行って拍手喝采を受け、割りとかっこいい映像だった。これはまた自民の出先機関NHKが安倍支持率をアップさせようと、例の劇場型の演出をしているのかと真っ先に疑った。とはいえ、インドのシン首相と握手している姿ともども、立派に外交に取り組んでいる印象を与えないわけではなかった。けれど、シン首相はどっからどう見ても安倍さんの数十倍は知的な印象の、頭に宇宙戦艦ヤマトみたいなターバンを巻いた人物で、単独のインタビューに答え、「日本の経済援助」を当然の権利のように要求していた。番組によると「急激な経済発展をとげたインドの自信をうかがわせる」ものだとか。こうしてちゃっかりと色々要求するのだから、拍手喝采くらいお安いものなんだろう。

にしても、のんきにインドに行っている場合なのだろうかこの人は? という感は否めず、その後調べてみた。
まず「温暖化対策」を訴えた件についてインドチャネルは、

 同日夜、政府迎賓館「ハイデラバード・ハウス」で、安倍総理とシン首相は両国代表団を交えての公式会談を行った。日本側は、地球温暖化対策へのインドの協力を要請し、インド側は、経済発展を妨げないことを条件に温暖化対策を進めることで合意した。

「経済発展を妨げないことを条件」だったら、安倍さんはどんな約束も取りつけなかったのと同じではないだろうか? こんなのをもって「合意」とは、日本人のみならずインド人にもバカにされている。経済を優先させれば輸送ひとつ取っても、CO2はどんどん排出される。何か数値目標を決めてきたのだろうか? それともアイドリングストップだけはするとか、そういうことなんだろうか。絵面だけはかっこよくしても、中身がこんなであることを、NHKは伝えていたっけか?

しかし、インド行きのハイライトはその程度のものではなかった。もともと安倍さんに「地球温暖化」をどうにかしてもらおうと期待していないので、別にそんなのはいい。そんなことより、驚愕の利己遺伝子が安倍晋三の約60兆個の細胞の中、バリバリ全開で駆動しているのを思い知らされ、事実は小説より奇なり。背筋が半分凍る気分になったので、以下、ニュースをチェックしそこねた方のために説明する。

■参照:首相訪印とパール判事(報道ステーション)

■参照:中島岳志『パール判事』(本の解説と感想)

■参照:ラダ・ビノード・パール(wikipedia)

そう、安倍首相がインドに行った本当の目的は、地球温暖化なんていう本人もその必要性を理解しているのかどうか怪しいテーマに突き動かされではなく、パール判事の長男に会いに行くことだったのだ。余談だが安倍首相の温暖化対策の構想は、その名も「美しい星50」ってことで、西暦2050年までに世界全体で温室効果ガスを半減すると謳っていて「またキャッチフレーズは美しいかよ!」と、その発想のマンネリぶりに驚いたが、これって発想の「八紘一宇」ではないだろうか。誰も相手にしていないからいいようなものの。

それはともかく、このパール判事つう人が誰かって話だが、わたしは恥ずかしながら初耳だったので調べたところ、一言で説明すると

「東京裁判において、A級戦犯全員に無罪を言い渡した、唯一の判事」(判事は全員で11人いた)。
この一言、知ってみると非常に感動だ。そりゃそうだ。戦勝国である連合国側はわたしが知っているだけでも本当に酷いことを沢山している。裁く権利などあろうはずがない。第一にアメリカは原爆を二度も落している。イギリスはイギリスで大英帝国とか言ってアジアやインド方面を好き放題蹂躙し植民地にしたうえに、中国人には阿片を売りつけ廃人の群れにしている。当初は紅茶と茶碗を中国から買いすぎて貿易不均衡に陥り、売るものが何もないイギリスはあせってアヘンを売りだしたらしいが、そのせいで阿片窟だらけになったのを知ってなお売り続けたのだから、これは中国人という民族全体を粛清しようとしていたという考え(『わたしたちが孤児だった頃』)も、信じたくないがあながち無理な考えとは思えないのだ。しかし、そんなイギリスに心酔して真似っこを始めた日本は極悪なうえにダサい。第一に、すでに阿片が中国人を極限まで追い詰め荒廃させていることを知っていて、阿片貿易をやり出したのだから、ある意味、最初は結果が未知だったオリジナルの悪をなしたイギリスよりも、タチが悪い。でもって、この阿片貿易を、安倍首相の祖父岸信介は、ガンガンやっていたのだ。(この人ものちのA級戦犯)

ということは、ふたつのことを安倍首相は今回のインド行きで行った。
ひとつは、「A級戦犯全員に無罪を言い渡した」パール判事の真意を、あくまでもA級戦犯であった祖父岸信介とそのお仲間たちの行為を正当化するものと解釈し、ファミリーな気分で会いに行った。ついでに、自分ら家族が一点の曇りもなく美しいのだと、内外に示そうとした。

もうひとつは、祖父の代からの「なんか中国ってキライだもん」という気分のまま行動、中国八分的パフォーマンスを展開、中国にあてこすった。
思い起こせば、今年の4月には「日中国交回復35年」とかで、温家宝首相が来日、長々とした演説をぶっているのだが、それは安倍さんの「美しい星50」どころではない長大さと、自信と確信に満ち満ちたものだった。しかも「尊敬する河野洋平議長閣下、尊敬する扇千景議長閣下」とは言ったが、安倍首相のことなど尊敬していない当てこすりもたっぷり含まれていた。さらに間違っても歴史教科書を美しく修正できないような釘も、ニコニコしながらガンガン打ち込んでいたのだから、やっぱり中国人は相当に鉄面皮アンドうわてだと思った。(その点は感心せざる得ないが、しかしアンタんとこの食品は買いませんからね! あと光化学スモッグを日本に流すのはやめろバカ! とだけは言っておく)

安倍首相は、従軍慰安婦問題の発言でアメリカ議会から叩かれたが、今回は、叩かれるようなヘマな言質はいっさい取られないよう用心しつつ、きわめて自分本位かつ醜怪なことをしているのではないだろうか。言葉ひとつの恐ろしさを知って賢くなったと、誉めてやろうか? って冗談ではない。こそくに言葉を消しても、行動だけでバレるものはバレる。
以上、簡単粗末なものではあるが、無駄安倍知識として頭の片隅にでも置いていただければ、と思う。
このたびのインド行きも、ここまで自分中心なのかと、あらためて驚きの念に襲われた。

そうそう、インドのパール判事が日本の戦犯を裁かなかった、その本当の真意はどのようなものなのか、安倍さんが考えているのと違う、深いものがありそうだ。

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